ここから本文です

アングル:「ドル安」対応を模索するアジア企業、プラス効果も

1/25(木) 12:17配信

ロイター

[シンガポール 24日 ロイター] - アジアの輸出企業は激しいドル安で業績が打撃を受け、輸出契約の再交渉を模索する動きもある。ただ、国内外の景気が好調なため、ドル安が原材料価格や債務コストの上昇を緩和するプラス効果も享受している。

ドルは昨年、他の主要通貨に対して10%下落した。アジア通貨の対ドル相場は韓国ウォンが3年ぶり、人民元が2年ぶりの高値を更新。日本やタイの自動車メーカー、韓国のハイテク企業、中国の半導体メーカーなど輸出を主力とするアジアのメーカーは、さらなるドル安への備えを進めている。

日産自動車<7201.T>は円が対ドルで1円上昇するごとに営業利益が170億円(1億5480万ドル)減少する。日産の広報担当のニック・マックスフィールド氏によると、2018年3月末会計年度はドルを含む全通貨の為替変動により、営業利益が600億円押し下げられる見通しだ。

半導体製造世界2位の韓国SKハイニックス<000660.KS>は、ドルが対ウォンで10%下落したためドル建て海外資産で約3000億ウォン(2億8060万ドル)の損失を被った。

中国非鉄金属工業協会の半導体業部門の幹部によると、中国企業は昨年海外の取引先と結んだ長期契約の採算性がドル安などの影響で悪化した。「利益が確保できない見通しで、企業は生き残りのため税金逃れに走る恐れがある」という。

アジアの自動車生産・輸出拠点を担うタイも、中東での自動車需要の落ち込みにバーツ高が追い打ちを掛けた。トヨタ自動車のタイ現地法人の幹部は「バーツ高で利益が落ち込み、買い手との再交渉などコスト管理に取り組まざるを得なくなった」と話した。

<ドル安にプラス面も>

ただ、アジアのメーカーの製品に対する需要は強く、世界的に景気が回復しつつあることから、ドル安は悪いことばかりではない。内需の堅調もアジアのメーカーにとって大きな支えとなっており、例えばトヨタは今年のタイの販売が25%増えると見込んでいる。

アジア諸国の政策当局者も自国通貨高に楽観的な姿勢を維持している。韓国とタイの当局はいずれも為替市場への介入は相場の急変動を抑制する場合に限定する方針を表明。中国人民銀行も今月、人民元相場の管理を緩和した。

アジア諸国はドル安が進むと購買力が高まり、消費者と製造業の両方にとってプラスに働く。また一部の企業では、現地通貨高によって原材料や対外債務支払いのコスト上昇が緩和される。

日本製紙<3863.T>は原材料の輸入額が輸出額を上回っており、ドル安は業績にとって追い風。同社の広報担当によると、円が対ドルで1円上昇すると半年間に約2億円相当の増益が見込めるという。

米アップルに製品を納入している韓国のLGディスプレー<034220.KS>と現代自動車<005380.KS>は、ドル安は輸出にとっては打撃だが、対外債務の返済コストも低下するとしている。

現代自動車の広報担当者はロイターに宛てた電子メールで「最近のウォン高は輸出の面ではマイナスだが、同時に対外債務のウォン建てベースの返済負担は軽くなる」と話した。

最終更新:2/13(火) 19:42
ロイター