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小中学生のワクチン集団接種 をやめたら、インフルエンザ で亡くなるお年寄りが増えた。なぜ?

1/27(土) 11:40配信

ハフポスト日本版

■小中学生の集団ワクチン接種をしていた時代

インフルエンザが大流行している。

厚生労働省が1月26日にまとめたインフルエンザの発生状況によると、全国の推計の患者数は約283万人で、調査を始めた1999年以来最多となった。学級閉鎖や学年・学校閉鎖になった保育園、幼稚園、学校の数は、21日までの1週間で7536カ所にのぼっている。

大流行のたびに言われるのが、「集団免疫」の必要性だ。いったい、どういうことだろうか?

今から31年前に当たる1987年までの11年間だけだったが、小中学校でインフルエンザワクチンの集団接種が義務づけられていて、大半の子どもが学校で接種を受けていた時代があった。

学校に校医が来て、クラスごとに並び、順番で注射を打たれるのだ。筆者もこの時期に小、中学生だったので毎年受けていた。注射は大嫌いだったが、友達の手前、我慢して受けたものだ。

この集団接種が始まるきっかけは、1957年の新型インフルエンザ(アジアかぜ)の大流行にさかのぼる。約300万人が感染し、約8000人(推計)が亡くなった。このときの教訓から、1962年から子どもへの接種が推奨されるようになり、1977年には予防接種法で小中学生の接種が義務化された。

だが、ワクチンを接種した後に高熱を出して後遺症が残ったと、国に損害賠償を求める訴訟が相次ぎ、国が敗訴するケースも少なくなかった。こうした社会情勢を背景に政府は法律を改正し、1987年に保護者の同意を得た希望者に接種する方式に変更、 1994年には、打っても打たなくてもいい任意接種に変わった。

同時にワクチンそのものの効果を疑問視する声も広がり、かつて100%近かった小中学生の接種率は、90年代、極めて低くなった。

■子どもの集団接種がなくなった後に起きたこと

小中学生のほぼ全員が毎年インフルエンザワクチンを打っていた社会がそうでなくなった場合、前後でどんな違いが見えてくるのだろうか。

この時期に焦点を当てた研究がいくつかある。

その一つで、東京都内のある小学校を24年もの間、インフルワクチンの接種状況と学級閉鎖との関連を観察してきた慶応大の研究がある。

ワクチンが集団で接種されていた時期、希望者だけに接種した時期、そして任意接種になった時期、再び増えてきた時期など5期に分け、その間の接種率と学級閉鎖の数の推移を比べた(表参照)。その結果は、明らかだった。

大半の子どもが打っていた4年間の学級閉鎖の日数は1.3日。それが緩和されると接種率の低下と反比例する形で8.3日、20.5日と増えていく。1996年には、この学校の児童の接種率は0.1%まで下がった。

だが同時に、高齢者施設でインフルエンザが流行し、入所者が相次いで亡くなったり、インフルエンザから脳症になって亡くなる子どもが増えたことなどがマスコミで相次いで報じられるようになった。そうした状況から、この学校でも1999年からインフルエンザワクチンを打つ人が増え始めた。それとともに学級閉鎖の日数も減っていった。

つまり、集団接種をやめて接種率が下がると、その分インフルエンザになる子どもが増えるし、逆に上がると減るのだ。

だが、子どもの集団接種をやめた影響は、学級閉鎖の増加だけにとどまらなかった。

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