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ブラック企業の犯人は「終身雇用」だった? 社員にも「便利な仕組み」がなぜ…働き方の「平成30年史」

2/2(金) 7:00配信

withnews

<ヘイセイデータ>数字で振り返る平成経済

この30年で日本の雇用は大きく変わりました。非正社員が4割弱に増え、長時間労働が問題になり、各企業で働き方改革が進んでいます。リクルートグループで20年間以上雇用の現場を見てきた、雇用ジャーナリストの海老原嗣生さんは、背景に働く方も働かせる方も「便利な仕組み」と機能してきた雇用制度があると指摘します。ブラック企業はなぜ生まれてしまったのか? 雇用の「平成30年史」を振り返ります。

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長時間労働を生んだ日本型雇用

――日本ではなぜ長時間労働が問題になるのでしょうか。

「雇用の仕組みに理由があると考えています。欧米では会社にポストがあり、そのポストに人を当てはめるという考え方が一般的です。一方で日本は、ポストではなくて会社に入るという契約です。これは労使にとって便利な仕組みなんです」


――会社にとっての利点は?

「社員を自由に異動させられる点です。例えば、新規事業を始めるときに人を集めやすくなる。もう一点はポストが空いたときの対応です。欧米はポストで雇用するので、ポストが空いたら基本的には同業同職の競合他社という狭い範囲から適当な人を探さないといけない。俗にいう引き抜きですね。引き抜かれた方は人材不足になるから、引き抜き返しがおこります。日本は、同じ会社で下から引き上げれば良いと考えますよね。役員が抜けたら事業部長から上げる。結果、事業部長が今度は空席になるが、そこには部長が、部長の空席には課長が、課長の席には係長が……といった具合です。もちろん、下以外にも左右の同僚で埋めることも可能です」


――でもそれがなぜ長時間労働につながるのですか?

「内部昇進すると仕事内容が変わりますよね。慣れたころに次の仕事に変わる。これが続くことが長時間労働の一因だと思います。左右から異動させた場合でも、地域や顧客、メンバーが新しくなるためにやはり、労働時間は増えるでしょう。逆に欧米のポスト採用の社員は本人の同意がない限り、仕事の内容が変わらないので、年を重ねるほど習熟していき、むしろ働く時間が短くなる」

「日本は立場が上がって、大企業の正社員であれば年収700、800万近くまで給料が上がる。その結果、男性は長時間労働をいとわずに滅私奉公で働き、女性は家事育児、という家庭内分業が進んでいった。これが長い間続いてきた日本型雇用の特徴でした」

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最終更新:2/2(金) 7:00
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