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国内の空調・熱源システム市場、拡大の鍵はAIとIoT

2/5(月) 11:10配信

スマートジャパン

 調査会社の富士経済は、このほど新しい技術やサービスの開発が進んでいる熱源機設備、空調機設備、熱搬送設備から構成される空調・熱源システムの国内市場を調査し、その結果をまとめた。国内の空調・熱源システム市場は、AIを活用したシステムの最適化など、高付加価値提案が進み、市場規模は堅調に拡大する見込みとしている。

需要分野別に見た空調・熱源システムの国内市場の推移予測 出典:富士経済

 空調・熱源システムの市場動向に大きく関わる建設需要は2020年度以降、大都市圏での新築ビル案件の需要は一巡している。しかし、2010年代後半から工期の遅れや施工単価の上昇で工事が先送りされていた大都市圏以外の受注持ち越し案件が再開することにより、新築需要が続くとみられる。2025年度以降は改修案件が中心となるが、省エネ対策だけではなく設備管理の省人化や居住空間の快適性を追及するため、AIやIoTを活用した空間の最適化や、設備保全の省力化・自動化などの高付加価値提案が進み、次世代空調・熱源システムの普及本格化で市場は新たな局面を迎えるとの見方だ。

 分野別にみると、オフィスビル分野は、2020年の「東京五輪」に向けて、東京を中心に建築に対する投資が活発になり、それに伴い空調・熱源システムの市場は拡大することが見込まれる。2020年度以降は新築数の落ち込みが懸念されるが、受注持ち越し案件の需要が再開することで、安定した市場を形成するものと予想される。

 データセンター分野は2018年度まで市場が拡大するが、2019年度は空調・熱源システムのリプレース期を迎えるデータセンターの数が減少するため、一時的に市場は落ち込みそうだ。現在、東京五輪に向けた工事の増加による人手不足から人件費が高騰しており、建設コストが上昇しているが、2020年度以降は落ち着き、2011年の建設ラッシュの際に建てられたデータセンターで採用されたPAC(パッケージエアコン)からセントラル空調への切り替え需要が高まるため、市場は大幅に拡大するとみられる。

 住宅分野における全館空調システムは、設計段階で組み込む必要があるため新築時の搭載が大半を占める。全館空調は各ハウスメーカーが他社と差別化する機能として位置付けており、ヒートショック対策などで採用が増加している。普及が進むにつれ価格が下がり、2019年度は一時的に市場が落ち込むが、その後は堅調に拡大すると見方だ。

 これらに加えて、東京五輪を控えて大都市圏のビル開発やインバウンド需要による宿泊施設などの新築案件が増加し、2020年度まで堅調に拡大するとみられることから、国内の空調・熱源システム市場は、2020年度には2016年度比1.7%増の1兆9850億円と堅調に推移すると予想している。

 一方、点検や補修、部品交換などを含めた定期保守サービス、サービスベンダーの監視センターなどによるクラウド・ASP(アプリケーションサービスプロバイダー)を利用した遠隔監視サービス、点検補修、部品交換、オーバーホールなどのスポット対応といった空調・熱源システムにおけるアフターサービス市場は、設備監視の省人化・省力化ニーズやIoTの活用により2020年には2781億円となりそうだ。

 定期的な保守サービスは、中央監視システムを持つセントラル方式の大規模施設や、設備の異常・停止が事業継続に大きく関わる産業施設や商業施設、コールドチェーン分野といった施設での活用が多くみられる。設備の利用が長期に及ぶ傾向にある産業施設やコールドチェーンに分類される低温物流倉庫や冷凍加工施設は、熱源機のオーバーホールなど、ほかの需要分野と比較してアフターサービスの利用が多い。市場は設備監視の省人化・省力化ニーズの高まりやIoTの活用が活発になることなどを背景に拡大するとみられる。