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人口減少社会で進んでいるもの ── 核家族化よりも単身化と家族の多様化

2/14(水) 18:30配信

THE PAGE

 少子化の背景に、晩婚化、非婚化が挙げられています。こうした家族のあり方の変化は、人口減少社会とどのような関係があるのでしょうか。

 福井県立大地域経済研究所特命講師、丸山洋平氏が、人口移動や家族の姿の変化から、日本の人口を捉えるための視点について執筆する本連載の第4回は「変わる家族の形と進む単身化」をとりあげます。

人口減少社会とは家族の形が変わる社会

 人口減少社会とはどのような社会か。

 その一つの答えは「家族の形が変わっていく社会」であると思います。中長期的な人口減少の大きな要因は少子化です。その少子化の背景には、結婚のタイミングを遅らせる晩婚化、その結果として未婚者が多くなる未婚化、最終的に結婚しないままになってしまう非婚化といった、家族形成行動の変化があります。

 これは自分の家族を形成する場合の話ですが、親との関係も変わってきています。その最たるものは3世代世帯の減少です。成人した子どもの夫婦と親が同居するというスタイルをとっている家族は、日本全体でみれば今やごく少数派です。

 家族の統計というのはあまり多くないのですが、世帯の統計は充実しています。世帯とは、生活を共にする人々のユニットですから、家族と共通する部分が多くあります。今回は世帯の家族類型に着目してみましょう。

核家族化は今でも進行しているか

 表1は日本全体の家族類型別世帯数とその構成割合を示しています。国立社会保障・人口問題研究所が2018年1月に新しい将来世帯推計の結果を公表しましたので、そのデータも掲載しています。世帯の家族類型は5つにまとめています。このうち、夫婦のみ世帯、夫婦と子からなる世帯、ひとり親と子からなる世帯を合わせたものが核家族世帯です。

 核家族世帯の実数は1965年から2015年まで増加を続け、2020年にピークを迎えるという見通しが得られています。ですがその内訳をみると、増加しているのは夫婦のみ世帯とひとり親と子からなる世帯であり、夫婦と子からなる世帯は1985年をピークに減少に転じています。

 これらの変化と比較して、圧倒的に大きく増加しているのが単独世帯です。核家族世帯は1965年から2015年までの50年間でおよそ2倍になりますが、単独世帯は10倍に拡大しています。実数から見ると、現在進行しているのは核家族化というよりも単身化であるといえるでしょう。

 この傾向は割合でみるとより鮮明に表れます。核家族世帯は1975年、夫婦と子からなる世帯は1970年にピークを迎え、その後は低下しています。3世代世帯を含むその他の世帯も50年間にわたって割合を低下させ続けてきました。割合の上昇が続いているのは夫婦のみ世帯、ひとり親と子からなる世帯、そして単独世帯です。いずれも国立社会保障・人口問題研究所の推計期間中、上昇し続けています。

 夫婦と子からなる世帯は、夫婦2人と子ども2人という、いわゆる標準世帯です。戦後日本の社会制度の多くは、この標準世帯が多数を占めるということを念頭に置いた仕組みになっているものが多くあります。年金制度などは代表的なものでしょう。

 こうした制度が作られた1950~60年代では、夫婦と子からなる世帯、核家族世帯が多数派を占めていましたから、あまり問題はありませんでしたし、合理的ですらありました。

 しかし、現代社会は違います。2015年で最も大きな割合を示すのは単独世帯であり、夫婦のみ世帯と夫婦と子からなる世帯の差も1965年よりもずっと小さくなりました。特定の家族類型の世帯が大多数を占めるような状況ではなく、家族の形が多様化しています。

 そして、その中でもひと際目立つのが単身化です。今でも「核家族化が進行している」という表現を見かけることがありますが、適切なものではないでしょう。進んでいるのは家族の多様化であり、単身化です。

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最終更新:10/1(月) 21:31
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