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岡山市南部用水路 地震で浸水危険 岡山大大学院グループ研究報告

2/10(土) 23:38配信

山陽新聞デジタル

 南海トラフ巨大地震による津波の影響をシミュレーションによって調べている岡山大大学院の前野詩朗教授(水工学)、大学院生工代健太さんらのグループは、岡山市南部に張り巡らされた用水路が一帯の被害を拡大させる可能性があるとの研究報告をまとめた。国などの想定より2時間以上も前に、海辺や用水路沿いで浸水が始まると予測し、用水路が多い岡山県南部の避難計画の見直しを訴えている。

 グループは2011年の東日本大震災を受け、地域で懸念される津波被害や安全な避難経路について検討を重ねている。今回は、茨城県・鬼怒川の堤防が決壊した関東・東北豪雨(15年9月)を踏まえ、川の流域の浸水被害に着目。岡山市に津波が押し寄せれば、総延長約4千キロとされる用水路が浸水被害に影響しかねないとみて関連を調べた。

 その結果、国や岡山市の想定では津波の第1波が岡山市に到達するのは地震発生の2時間半~2時間50分後とされているが、児島湾や旭川などの堤防が液状化により沈下し、地震の20分後には周辺で氾濫が始まると予測された。氾濫した流れが用水路を伝って広がるため海岸から約3・5キロ離れた場所でも、ほぼ同じ頃に浸水が始まる見通しも判明した。

 津波の第4波到達が見込まれる地震発生の5時間40分後でみると、浸水面積は国などの見立てとほぼ同じだが、水深(従来の想定は最大約3メートル)はより増していた。

 シミュレーションは、児島湾と旭川、百間川に三方を囲まれた干拓地で、津波や液状化の深刻な被害が懸念される岡山市中区の沿岸部約4キロ四方を対象にした。国などが公表している被害想定のうち最大のケースで示されている各種データを独自の計算式に当てはめて分析。用水路網は航空写真や地図情報を活用して再現した。

 今後は範囲を広げてシミュレーションする考え。前野教授は「用水路が浸水被害に及ぼす影響を考慮して避難を始める時間を早めたり、避難場所を見直したりするために結果を役立ててほしい」と話している。