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黒田日銀総裁の続投打診へ 緩和「出口」 道筋どう描く

2/12(月) 7:15配信

SankeiBiz

 安倍晋三首相が続投打診の方針を固めた日銀の黒田東彦総裁の再任後のかじ取りに注目が集まっている。黒田氏は当面は大規模金融緩和を続けるもようだが、緩和縮小に向けた「出口戦略」を描くという課題もある。好調な世界経済を背景に米欧は緩和縮小に動いており日本でも超低金利の副作用が出ているためだ。ただし物価上昇目標は未達なうえ、金融市場は不安定化しており、1期目以上に難しい判断を迫られそうだ。

 「日銀は2019年前半にも金融政策を“微調整”する可能性がある」。三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは、こう指摘する。

 黒田氏は当面は市場の動揺を抑えるため現行の大規模緩和を続けるとみられる。だが、今年1月に量的緩和を縮小させた欧州中央銀行(ECB)が来年にも利上げに踏み切れば、既に利上げを重ねている米連邦準備制度理事会(FRB)と足並みがそろう。日銀も日本経済が上向く中、少しずつ金融政策を正常化させるとみる向きは強い。

 市川氏は、日銀が短期金利でマイナス0.1%、長期金利で0%程度という現行の誘導目標を0.1ポイントずつ上げ、マイナス金利を解除すると予想。市場の混乱を避けるため、米欧のような本格的縮小ではなく一度だけの微調整と説明するのではとみている。

 出口戦略が求められる背景には大規模緩和の副作用もある。大手銀行5グループは超低金利で利益を出しにくくなり、17年4~12月期の実質業務純益は前年同期比で2割超減少。黒田氏も「収益下押しが長期化すると、金融仲介機能が停滞に向かう」と懸念する。

 一方、物価上昇率目標の2%は未達で、金融政策正常化の機は熟していないとの声もある。また今月の世界株安連鎖で「バブル崩壊の兆しではないか」(BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト)との悲観論も出ており、出口戦略をおおっぴらに検討するのは難しい状況だ。

 とはいえ19年になれば、10月に予定される消費税増税や東京五輪関連投資の一巡で経済が減速するともみられ、緩和縮小どころではなくなる可能性もある。大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストは「世界経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は強い。余裕がある年内のうちに一定の方向性は決めておくべきだ」と出口戦略検討を促している。(田辺裕晶)

最終更新:2/12(月) 7:15
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