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AKG N5005が大人気、ポタ研 2018冬で見つけた新製品・参考展示

2/11(日) 16:00配信

アスキー

ややマニアックな感じもただよう、ポータブル関連イベント「ポタ研」。とはいえ、新製品や注目機種はなかなか豊富
 2月10日、フジヤエービック主催の「ポータブルオーディオ研究会(ポタ研) 2018冬」が東京・中野サンプラザで開催された。「ヘッドフォン祭」を主催する同社だが、ポタ研はその間の時期(夏と冬)に開催され、ヘッドフォン祭よりは小規模でマニア色の強いイベントとなっている。
 

 商戦期と外れるためか、メーカーの出展自体は控えめ。とはいえ事前の予想を上回る、新製品・参考展示が揃った印象だ。話題性では、1月のCESで米国発表されたばかりの「AKG N5005」が国内初公開。試聴のための列が絶えなかった。
 
 一方時代の推移というか、少しずつ増えてきているのが、クラウドファンディング関連の製品展示だ。オーディオ製品も出資を募って製品化するケースが増えているが、ネット上では肝心の音を知る機会がほぼない。リアルな製品を見てもらうには絶好の機会になるはずだ。今回のポタ研では、final(S'NEXT)が昨年からMakuakeで展開中の“Makeプロジェクト”に対する関心度が非常に高かった。
 
 現在は「Make1」(3BA)、 「Make2」(1BA+1ダイナミック)、「Make3」(ダイナミック)という3種類のイヤモニの出資を受け付けている。「自分だけのイヤフォンを作る」をコンセプトに、複数の音質調整フィルターの組み合わせで細かな音質調整ができる点が特徴。Make1では77通り、Make2/Make3では847通りの音が選べるという。会場では3種類の試聴ができ、聞き比べた人の感想をアンケートを通じて集めていた。その情報に基づいた改善も加えていくという。
 
 ヘッドフォン関連のイベントは、体験の場であり、意見交換の場であり、アイデアが形になる場でもある。ポータブルオーディオのイベントは、もともと作り手と使い手の距離の近さを感じるものであるが、メーカー側も試行錯誤しながら、時代に合わせて変化している印象だ。そんな雰囲気も感じつつ、新製品・参考展示やイベントの楽しさを紹介していこう。
 
AKGへの期待はやはり大きい
 冒頭でも紹介したが、今回一番の注目製品と言えば、「AKG N5005」だろう。国内で実機が展示されるのは初めてで、米国発表時の価格は999ドル(約10万9000円)。AKGのフラグシップイヤフォンで、国内発売もこの春を予定している。
 
 直径9.2㎜のダイナミック型ドライバーにBAドライバー4基を組み合わせたハイブリッド型。MMCX端子を持ち、リケーブルが可能。3.5㎜、2.5㎜バランス、Bluetooth送受信用のリケーブル3種が付属する。国内販売する際には、高音質ケーブルを別途添付する予定があるそうだ。またフィルター交換で物理的に音質を変えられる機構も持つ。フィルターは合計4種で、標準のチューニングのほか、低域・高域・中域の量感を増やしたチューニングが選べる。
 
デスクトップ再生もこなせるAstell&Kernへ
 Astell&Kernの「ACRO S1000」はデスクトップ再生を主眼とした小型のスピーカーとなる。2ウェイバスレフ型のパッシブタイプで、昨年発表した、USB DAC内蔵の小型アンプ「ACRO L1000」とマッチする製品だ。筐体はL1000同様のアルミ製で、ツイータの振動板にチタン、ウーファにケブラーを使っているそうだ。サイズは幅109.8×奥行き137.8×高さ138mm。重量は1.95kg。再生周波数帯域は93Hz~40kHzとなる。価格や発売時期に関しては未公開だ。
 
 また既存製品のKANNは、ファームアップデートで「LINE端子からの可変出力」に対応する。KANNはヘッドフォン出力とは別系統でLINE出力を持っている。ライン出力側にもアンバランス伝送用の3.5mm/3極端子と、バランス伝送用の2.5mm/4極端子があり、アンバランス接続ライン出力は、0.7V/1V/1.25V/2Vrmsの4段階が選べる。高出力なLINE出力を可変(ボリューム調節可能)にすることで、ヘッドフォンの駆動力をさらに上げる意図もあるようだ。
 
 Astell&Kernの代理店アユートのブースでは、AKとのコラボで生まれたGrooversのプレーヤー「ACTIVO CT10」が採用する「TERATON」モジュールも展示していた。ハイレゾ再生に必要な機能を1モジュールに集約している。これを使えば、車載機器やPCの周辺機器など、様々な機器にハイレゾ再生機能を追加できるわけだ。最初に開発したTM200というモジュールは、CS4398や高精度クロックなどを搭載しているが、今後他社製DACを載せる可能性もあるそうだ。Astell&Kernというと、ハイレゾプレーヤーのイメージが強いが、プレーヤー開発やヘッドフォン再生の枠にとどまらない製品企画を進めているのが分かる。
 
2018年は平面駆動型が身近な存在になる?
 昨年多くの製品が出た平面駆動型ヘッドフォン。基本的には高価だが、今年は少し身近な存在になるかもしれない。注目は、AUDEZE(オーデジー)の「LCD-2 Classic」だ。2009年発売のLCD-2を、現代の技術で復刻した製品という位置づけ。
 
 ドライバーサイズは変わらず、外観を変更。パッケージ内容もシンプルにして実売8万円前後まで低価格化した。ハウジングの一部にリング状の木材を使っていたLCD-2に対して、ナイロン樹脂素材としたほか、ヘッドバンド部もサスペンション付きの軽量なものに変えている。
 
 ブースでは強化電源付きで150万円程度になる、超高級真空管アンプ「OCTAVE V16」と組み合わせてデモされていた。開放型の音場感の広さや平面駆動型ならではの緻密な再現性などを兼ね備え、非常に魅力的なサウンドが堪能できた。発売は間近で2月16日を予定している。
 
材質にこだわる、低価格だけどいい音など、豊富なイヤフォン
 イヤフォンに関しても相変わらず面白い製品が多い。
 
 音茶楽の「Flat4-櫻Balance」と「Flat4-緋櫻Balance」は双子的な関係性の製品だが、ドライバーの後ろからハウジングに伸びた位相補正チューブの長さが2㎜ほど違っている(28mmと30㎜)。個人差のある外耳道の長さを考慮。櫻(さくら)は標準、緋櫻(あかざくら)は外耳道が長い人向けだという。人間の耳は3kHz前後の感度が高いといわれるが、イヤフォンを密閉して装着するとそのピークが6kHzぐらいに動いてしまい、そこが高域の刺さりなどに関係するという。その調整に効果があるそうだ。
 
 名前の通りハウジングの一部に桜材を使用。実売価格は9万円前後と高価だが手作業を中心にした凝った作りと仕上げだ。姉妹機に欅(けやき)材を使ったものもあるが、聴き比べるとよりマイルドで聴きづかれしにくい印象だ。欅は非常に軽くて硬い(ヤング率/比重)素材とのことで、音の切れがよくメリハリ感がある。バランス駆動に対応することで、よりしっかり据わった音の再現ができるという。10㎜のダイナミック型ドライバー2基を対向配置している。音圧感のある中低域に加え、45kHzまでの高域再生も可能となっている。発売は3月2日で、合計100台の限定生産だ。
 
 SATOLEXの「Tumuri DH303-A」は1月末に発売したばかりの製品で、MMCX端子を持ち、リケーブル対応の機種となる。ケーブルは耳掛け式だ。実売価格は7000円を切る。伸びのある中高域の再生が可能なハイレゾイヤフォンだ。筐体は樹脂製だが、Tubomiでは筐体変更による音の変化も楽しめたので、バリエーション展開も期待したいところだ。
 
 ハイコスパな製品を数多くリリースしている1MORE。近く投入するのは7000円前後のハイブリッドイヤフォン「E1017」だ。グラフェン使用のダイナミック型ドライバーとBA型ドライバーを組み合わせている。チューニングとしてはゆったりとした中音域で、高域が刺さらないず落ち着いている。同社らしいバランス感で聴き疲れしにくそうだ。
 
真空技術を採用したVECLOSのイヤフォンやスピーカー
 昨年のポータブル関連イベントでも展示されていたサーモス(VECLOSブランド)のイヤフォンは真空技術を取り入れた独自性のある製品。サーモスといえば魔法瓶だが、真空技術は断熱と同様に不要な振動が伝わるのを防ぐ目的でも役立つ。ハウジングがステンレス(S)製の「EPS-500」と「EPS-700」、チタン(T)製の「EPT-500」「EPT-700」の4種類がある。いずれもBA型ドライバーを採用しているが、500と700は異なるドライバーを使った上位・下位モデルという位置づけ。発売は夏を目指しており、価格などは未定。
 
 なおVECLOSブランドの製品としては、デスクトップ再生用のスピーカー「SSB-380S」も展示されていた。AKM製チップによるUSB DAC機能を内蔵している。DSD 11.2MHz、PCM 384kHz/32bitのネイティブ再生に対応予定だ。低域はニアフィールド再生ということもあり、100Hz程度まで。aptX対応のBluetooth再生もできるとのこと。価格は未定だが、昨秋から販売している「VECLOS MSA-380S」が10万円台後半の実売価格であるため、近い線に落ち着くのではないかとのこと。
 
ユーザーの意見を聞きながら、開発途中の製品を改善
 クラウドファンディングものとしては、finalのMAKE1/2/3が注目の的。試聴には整理券が配布されていて常に満席状態だった。現状ではMAKE3が1万2600円から出資できる。MAKE1の場合は4万4800円からだ。一般販売する際よりは割安なので、この場で聴いて出資する来場者も多かったようだ。
 
 CCCはGREEN FUNDING by T-SITEに出ている、フルデジタル駆動のポータブルスピーカー「OVO」(オーヴォ)やコンパクトながら24bit/48kHzのaptX HD伝送に対応したデュアルDAC搭載ポータブルアンプ「earstudio」を展示していた。
 
 オンキヨー&パイオニアブースでは、同社製ポータブルプレーヤーに追加してほしい機能をアンケート募集。aptX HDへの対応を要望する声が多く集まっていた。開発中の製品をチラ見せし、ユーザーの意見を聞いて改良の助けにするといった取り組みももちろん多く見かける。
 
 今後追加予定の機能として紹介されていたのが、リプレイゲイン。音声ファイルを再生する際に、曲ごとにボリュームのばらつきが出ないようにするための技術だ。ノーマライズとは異なり、事前にこの曲はこのボリュームで再生するという情報をタグに記録しておき、再生時の音量に反映するものだ。PC用のプレーヤーソフトでは、foobar 2000などが対応している。
 
ブラインドテストにチャレンジしてみる
 ユーザー参加企画で盛り上がっていたのがアユートブースのブラインドテスト。
 
 同社取り扱い製品の音を、隠した状態で聴き、製品名をこたえるというもの。問題は2つあり、ひとつは「Hugo 2」と「ACRO L1000」のどちらの再生音か。もうひとつは「AK CD-RIPPER」と、よりハイグレードなCDドライブを搭載した「AK CD-RIPPER MKII」のどちれでリッピングした音源か(ドライブメーカーが異なるそうだ)を当てるというもの。
 
 正解者に「Michelle Limited」など、豪華なプレゼントがあり、とても盛り上がっていた。ただし確率的には1/4ぐらいで当たるはずなのだが、難易度は思いのほか高く、両方正解できた人は少なかったようだ。
 
 筆者もチャレンジしてみたが、音の違いがあることは分かるものの、具体的な製品名まで答えるとなると悩むところがあった。正解を聞いたうえで書くと、ACRO L1000とHugo 2の比較では、音の線の太さ/細さ(トーンバランスの違い)、質感のザラつき感などに差があった。好きなのはACRO L1000のほう。AK CD-RIPPERとAK CD-RIPPER MKIIは、AK-RIPPER MKIIのほうが音に雑味やなまりがなくダイレクトに鳴っている印象があったが、直接的過ぎてつまらない感じもした。
 
ほかにも新製品が続々と展示されていた
 
Nutubeの対応製品も発見
 コルグのブースでは、Nutubeを使った様々なオーディオ機器が展示されていた。Nutubeを使った組み立てキットも企画され、「Nu:Tekt」(ニューテクト)を通じて販売する計画とのこと。価格や発売日は未定。
 
文● 編集部

最終更新:2/11(日) 22:39
アスキー