ここから本文です

AIG損保が「転勤」廃止 大企業が実施、金融業界に一石

2/12(月) 7:15配信

SankeiBiz

 AIG損害保険が、働き方改革の一環で全社員を対象に転居を伴う人事異動を廃止する試みを始めることが11日、分かった。国内を13のエリアに分け、異動は原則としてエリア内に限定する。転勤が多い金融業界では勤務地を一定の地域に限定する「地域限定社員制度」の導入が進むが、全国転勤がある社員とは、待遇面やキャリア形成で差をつけているケースが多い。全社員を対象に働く地域を限定するのは珍しく、専門家も「画期的な取り組みだ」と注目。業界の働き方改革に一石を投じる可能性がある。

 共働きや介護をしながら働く社員が増えていることから、働きやすい環境を整備する。まずは7月から13エリアのうち、2つのエリアで試験導入する方向で調整している。来年1月には対象を約7000人の全社員に広げ、国内のAIGグループ全体でも同様の取り組みを始める。

 銀行など多額の現金などを扱う金融業界は不正防止の観点から異動や転勤が多いとされる。金融庁も監督指針で、長期間にわたり同一業務に従事させることがないよう求めているほか、年1回は1週間以上職場を離れ、業務を引き継いだ第三者が仕事内容を確認できる方策をとることなどを要求している。そのため、就職活動でも人気が高い金融業界だが、全国転勤を敬遠する学生も少なくない。こうした中、働きやすい会社をアピールすることで、優秀な人材獲得につなげる狙いもある。

 勤務地に関する調査を実施した結果、バランスよく人員が配置できる見通しが立ったことから導入を決めた。13エリアの詳細な区割りは検討中だが、通勤時間が2時間以内になるように調整する。本人の希望で他のエリアに移ることも可能とする。

 同社では既に部署のニーズと本人の希望が合致すれば異動が認められる「ジョブ・ポスティング(社内公募)制度」も導入しており、社員のモチベーションを高めることで生産性を向上させるとともに、介護などで離職するリスクを低減させる。エリア内での異動は定期的に行い、不正防止の観点にも配慮する。

 ■大企業が実施、革新的な取り組み

 雇用問題に詳しい大和総研の菅原佑香研究員の話 「転居を伴う異動を全廃するという話は聞いたことがなく、革新的な取り組みだ。政府は働き方改革を推進しているが、仕事と家庭の両立を阻んでいる要因の一つが転勤の問題だ。転勤は全国展開する大企業で目立ち、人材育成のためとするケースが多いが、本当に必要なのか疑問もある。共働き世帯や介護をしながら働く社員が増える中で、AIG損保のような大企業がこうした取り組みを始める意味は大きく、幅広い業界で転勤についての議論が盛り上がることを期待したい」

最終更新:2/12(月) 8:15
SankeiBiz