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心にしみる家族の漫画展 作者は児相勤務25年の教授

2/11(日) 23:58配信

朝日新聞デジタル

 家族が織りなす様々なエピソードを描く漫画家で、立命館大教授の団士郎さん(70)の作品展が12日まで、大阪府茨木市で開かれている。東日本大震災の後、宮城や福島など被災県で毎年披露され、「ささやかな物語に癒やされた」と好評を得ている作品だ。

【写真】「木陰の物語~宿題」(抜粋)


■悩み相談、題材に

 心理学が専門の団さんは京都府の児童相談所に25年間勤め、2001年から大学の教壇に立つ。また、家族関係を手がかりに、不登校やうつなどの悩みの解決法を探るカウンセリングを行っている。

 一方で得意の漫画を描き続けてきた。00年には家族を題材に短編の創作を始め、月1回、教育雑誌に連載してきた。面談で出会った家族の話を下敷きにすることもある。「ひとつめ」と題した一編は、非行が収まらない少年と家族を描いた作品だ。

 母親は家を出て、父親が少年とその姉、妹の夕飯を作り、家事をしていた。地味でまじめな父を子どもたちは疎んでいた。団さんは面談の際、問題行動に触れず、子どもたちに「心配なこと」を三つ考えてもらい、一つめは何か尋ねた。姉妹は「お父さんが事故に遭ったりしないか心配」、少年は「僕も同じ」と答えた。1週間後、少年は受験勉強を始めた。

 失ったものではなく、あるものに目を向ける。「同じ状況でも、捉え方を変えれば光が見えることもあるのです」と団さんはいう。

 障害を持つ女性が、家族に悩みを言えるようになった話、息子が高校に落ちた時、悔しさを一緒にかみしめた父の感慨……。ささやかだけれど、心を動かされた日常のエピソードを描いている。

朝日新聞社