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「早く日常に戻りたい」=脳裏に墜落光景、消えぬ不安―陸自ヘリ事故1週間

2/12(月) 5:35配信

時事通信

 佐賀県神埼市の民家に陸上自衛隊の戦闘ヘリコプターが墜落した事故から12日で1週間。

 民家から立ち上る黒煙を目撃した住民らは恐怖心が消えず、「早く日常に戻りたい」と切実に訴える。現場はヘリが配備された陸自駐屯地から約6キロにあり、不安が消えない日々が続く。市教育委員会は児童・生徒の心のケアも進めている。

 墜落現場のそばに住む樋口富代さん(87)は、ドンという音を聞いて驚いて家の外に出ると「煙で空が真っ黒だった」と振り返る。普段から目達原駐屯地から飛び立ったヘリコプターを見掛ける地域。「まさか落ちるなんて思ってもいなかった」とつぶやく。

 自宅周辺は現場検証したり機体から落下した部品を捜索したりする自衛隊員や警察官らが行き来する。「落ち着かない。早く日常に戻りたい」と語り、事故後、頭痛が続いていることを打ち明けた。

 農作業中に、空中で異変を起こす事故機を見掛けた江頭俊光さん(67)の脳裏には墜落する事故機の様子が刻まれた。バリッという大きな音が上空でした瞬間、機体の一部が離れ、機体が斜め下方に落ちていった。どこに消えたのか見渡していると、一気に黒煙が立ち上った。「一度こういう目撃をしてしまうと不安は消えない。絶対あり得ないなんてことはない」とかみしめるように話した。

 「正直、言葉に詰まる思い」。事故現場から約200メートルの距離にある認定こども園「大立寺幼稚園・子どもの家保育園」の平尾道代副園長(50)は、事故後の心境をこう表現した。園児に被害がなかったことへの安堵(あんど)や、被害に遭った一家への気遣いなどさまざまな気持ちが交錯する。

 「今後、落ちるのではないかと不安」と打ち明ける。「墜落で住宅が全焼した被害家族のことを考えると心が痛む」と話した。

 墜落する事故機を目撃した男児は、飛ぶヘリコプターを見ると怖がるという。副園長は「いつも以上に園児を注意深く見守っていきたい」と語気を強めた。

 神埼市教委は、事故現場周辺の小学校と中学校に県教委を通じてカウンセラーを派遣。ストレスの度合いに応じて順次、子どもたちのカウンセリングを進めている。 

最終更新:2/12(月) 9:48
時事通信