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海自、インド太平洋の中国が開発主導の港湾施設への「戦略的寄港」強化

2/12(月) 7:55配信

産経新聞

 ■軍事利用を牽制

 河野太郎外相は11日、訪問先のブルネイで、中国企業が開発に関与するムアラ港に寄港した海上自衛隊の外洋練習航海部隊を視察した。自衛隊は中国の経済圏構想「一帯一路」のもとで開発が進む港湾施設への立ち寄りを強化している。河野氏はこうした取り組みを「戦略的寄港」と位置づけ、中国による戦略拠点の排他的軍事利用を牽制(けんせい)したい考えだ。

 「航行の自由を含む法の支配の普及を通じ、インド太平洋を平和と繁栄の地域にする」

 河野氏は海自の隊員を前にこう訴えた。南シナ海の南端に位置する戦略的要衝・ムアラ港を視察した今回の意義について、同行の外務省幹部は「海自艦艇が入れるのかどうか、いろんな機会に試していくのは大事だ」と語る。

 念頭にあるのは中国主導の港湾開発への警戒だ。中国が関わるバングラデシュのチッタゴン、スリランカのハンバントタ、パキスタンのグワダルが軍事利用されれば、シーレーンの安全が脅かされる恐れもある。

 海自は練習航海や海賊対処を行うソマリア沖への往復の際、インド太平洋地域での戦略的寄港を強化している。昨年は中国の影響力が強まるスリランカに3回入港し、中国と南シナ海の領有権を争うベトナム、フィリピンにも寄港した。外務省幹部は「どこに寄港できるか防衛サイドと緊密に連携している」と明かす。

 河野氏は昨年9月の日米印外相会談でグワダル港に触れ「日米印が戦略的寄港を強化することが必要だ」と呼びかけた。共同でインフラ整備を行うことでも一致し、政府は近く担当者を米国へ派遣して協議する。

 ただ、中国は豊富な資金を投入するため、地元政府には魅力的に映る。外務省幹部は「中国のインフラ開発は『早い、安い、政権にうまい』だから、中国にくっついていく」と語る。

 対抗措置は困難を極めるが、海自の戦略的寄港は港湾施設の開放性を維持するための警告として機能し得るだけに、海自関係者は「単発の寄港という『点』ではなく、『面』で実施できればよりインパクトがある」と意気込む。 (大橋拓史、千葉倫之)

最終更新:2/12(月) 8:26
産経新聞