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ぼくのもとに無常の使い 石牟礼道子さんを悼む 作家・池澤夏樹

2/12(月) 7:30配信 有料

朝日新聞デジタル

 石牟礼さんがもういない。
 熊本に行っても、託麻台リハビリ病院にもユートピア熊本にも石牟礼さんはいない。念のため、以前に暮らしていらしたやまもと内科の四階を覗(のぞ)いても、やはりおられない。あれらの部屋はみな空っぽになってしまった。
 この十年、何度となく熊本に通った。不知火海を一周して水俣に寄り、遠く高千穂へ走って夜神楽を見、一昨年の地震の惨状も確かめに行った。その他にも何かと理由を作って訪れた。
 すべて石牟礼さんに会うためだった。
 パーキンソン病でお首が揺れるのだが、いつもいい顔をしておられた。声が美しく、昔の話が次々に湧いて出て、お疲れを案じながらもついつい時間を忘れた。……本文:1,410文字 この記事の続きをお読みいただくには、朝日新聞デジタルselect on Yahoo!ニュースの購入が必要です。

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