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正恩氏の特使・与正氏、「核放棄」封じ 文氏持ち上げ冗談も

2/12(月) 7:55配信

産経新聞

 【江陵=桜井紀雄】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹、金与正(ヨジョン)氏は、初の韓国訪問でどう振る舞ったのか。文在寅(ムン・ジェイン)大統領を持ち上げ、訪朝意欲をくすぐるなど、兄の特使、体制の“広報責任者”としての役目を十分に果たしたようだ。

 「寒い中、お疲れさまでした」。10日の会談で文氏が平昌五輪開会式出席をねぎらうと、与正氏は「大統領のお気遣いのおかげで大丈夫でした」と応じた。

 昼食会では、さらにリップサービスを惜しまなかった。「こんなに近いのに来るのが大変で残念です」と話し、「双方の首脳部の意志があるなら(関係改善は)速く進むでしょう」と文氏の訪朝決断を促した。

 「早い時期に平壌でお会いできたらいいですね」とも述べ、「文大統領が統一の新たな幕を開く主役になり、後世に残る足跡を刻まれるよう願っています」と文氏を持ち上げた。文氏にとって統一は最大の宿願であり、北朝鮮最高指導者の妹からこう言われ、まんざらでもなかったはずだ。

 南北でイカとタコを表す単語が正反対だという話題が上ると、「それから統一しなければ」と冗談を口にして場を和ませるなど、気さくな一面も見せた。韓国側から核開発の放棄など北朝鮮にとって耳障りな話題が出ることはなかった。

 11日の帰国前に文氏らと芸術団のソウル公演をわざわざ観覧したのは、対外宣伝を取り仕切る党宣伝扇動部第1副部長として、公演を統括する立場にあったためだとも考えられる。

 10日に五輪会場がある江陵(カンヌン)に移動した際は、駅や夕食会を開くホテル周辺に住民らが殺到し、“人気ぶり”を見せつけた。夕食会では、江原道(カン・ウォンド)知事からソウルの印象を問われ、「初めて来ましたが、見慣れなくはありません」と答えた。

 与正氏は、兄とスイス留学を経験したほか、在日朝鮮人出身の母に連れられ、ひそかに日本も訪れたことがあるとされ、西側の都市の風景になじみがあるのは事実のようだ。それだけに特使としての訪韓は、好奇心から「自分の目で南側を見てみたい」と自ら進んで申し出た可能性もある。

最終更新:2/12(月) 7:55
産経新聞