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<五輪アイスホッケー>姉妹出場「同じリンクうれしい」

2/12(月) 9:30配信

毎日新聞

 【平昌・神足俊輔】平昌冬季五輪のアイスホッケー女子日本代表「スマイルジャパン」に選ばれた姉妹が、12日のスイス戦に臨む。床亜矢可(とこあやか)(23)と秦留可(はるか)(20)=ともに西武。4年前のソチ五輪でかなわなかった姉妹出場を果たし、チーム念願の初勝利を目指す。

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 2014年のソチ五輪直前。代表合宿に一緒に参加した2人は、最終選考の結果を待っていた。

 実家にいた亜矢可の携帯電話が鳴った。当時、日本代表監督を務めていた飯塚祐司・代表コーチ(43)からだった。「一緒に頑張ろう」。そう代表決定を伝えられた。

 喜びがこみ上げてきた次の瞬間、「妹は行けないけど、頑張ろう」と告げられた。亜矢可はその場で泣き崩れ、そばにいた秦留可は落選を悟ったという。

 北海道釧路市出身。アイスホッケー男子元日本代表の父泰則さん(56)の指導を受けた。はきはきとした姉と、どこかのんびりした妹。ポジションは小学校のころから同じ。亜矢可が主に防御をするディフェンス(DF)で、秦留可が攻撃を担うフォワード(FW)だった。幼いころから、互いのプレーに、意見を言い合ってきた。

 亜矢可には、選手生命の危機があった。

 既に日本代表入りしていた釧路江南高1年の時、甲状腺異常で息切れなどが起こる「バセドー病」が発症した。喉にある甲状腺の摘出手術をすれば復帰は早い。だが、首に10センチほどの傷痕が残る。「ウエディングドレスが着られないじゃない」。両親は、そう言って手術に反対した。

 「代表を諦めなければならないのか」。そんな苦悩に揺れる中で、秦留可が、首の隠れるデザインのウエディングドレスの写真を見つけ、何枚も無料通信アプリ「LINE」で送ってきた。「手術を受けよう」。決意が固まった。

 ソチ五輪に向け、秦留可は落選した他の代表候補選手とアルバムを作り、亜矢可に渡した。秦留可は最後のページにメッセージを書き込んだ。「私たちも平昌行くもん」。ソチ五輪で亜矢可は、DFながら2ゴールを挙げた。

 その後の4年間、秦留可のメッセージを胸に、同じDFだった父のアドバイスに耳を傾けた。

 試合前の整列で、2人はいつも隣に立つ。「決めているわけではない」が、なぜかそうなる。10日の1次リーグ初戦、スウェーデンには1-2で惜敗したが、秦留可は「同じリンクに立ててうれしかった」と振り返った。

 亜矢可は言う。「妹と一緒だと、なぜか『チャンスが来る』と感じる」。姉が守り、妹が攻める。同時出場をかなえた今、姉妹で代表を勝利に導くと誓う。

最終更新:2/12(月) 9:30
毎日新聞