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社説:京都市予算案 市民の力引き出せるか

2/12(月) 11:19配信

京都新聞

 京都市が2018年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比2・3%増の7844億円で、過去最大となった。
 明治維新から150年の節目にあたり、「未来を展望し挑戦する予算」と説明している。くしくも来年4月に「平成」が幕を下ろす。明治の東京遷都による混乱を先取の精神で乗り越えた先人に学び、新時代を切り開いてほしい。
 重点施策では「世界の文化首都・京都」の実現に向けた施策が目を引く。京町家の保全・継承や二条城の保存・活用などに手厚く配分した。文化庁の京都移転を控え、市民の文化への関心を高める効果に期待したい。
 ただ「明治150年」プロジェクトの目玉は、15年度から琵琶湖疏水で準備してきた観光船の本格運航で、それ以外は討論会や展示会、提言などが中心となった。
 明治のダイナミズムを取り戻すなら、市民や企業の力を引き出す大胆な仕掛けが必要ではないか。
 文化や観光の振興、景観保全などの分野で多くの新規事業を盛り込めたのは、10月に宿泊税を導入するためだ。初年度は19億円近い税収を見込む。交通渋滞や違法民泊の増加など観光客の急増が市民生活に与えるマイナスの影響を抑える取り組みに軸足を置いた。
 歳入は、景気回復で法人市民税が前年度比20・2%増の281億円と4年ぶりに伸び、15年度に次ぐ水準に戻る。個人市民税や固定資産税なども堅調に推移する。
 それでもなお、一般財源収入はピーク時に及ばず、厳しさは変わらない。予算編成作業は350億円の収支不足から始まった。人件費削減や資産売却などで223億円をひねり出し、借金返済に充てる公債償還基金の取り崩しなどの「特別の財源対策」で残り127億円を確保した。市は20年度にこうした対策からの脱却を目指しているが、足取りは重い。
 やりくりに手を尽くしたが、借金残高は増える。国が返済するとしている臨時財政対策債を除く一般会計の市債残高は18年度末に8794億円となり、17年度末から26億円膨らむ。増加は2年連続だ。門川大作市長は就任以来、残高を1千億円減らしたが、3期目の後半に入り、緩みはないか。
 将来必要な投資とはいえ、南部クリーンセンターや市美術館、市庁舎の整備、小中学校統合といった大型工事が集中した点は見過ごせない。少子高齢化で医療・介護、福祉の経費が増え続ける中、工事の進行管理を徹底するべきだ。

[京都新聞 2018年02月12日掲載]

最終更新:2/12(月) 11:19
京都新聞