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明快な指導、長足の進歩=高木美、オランダ人恩師に感謝〔五輪・スピードスケート〕

2/12(月) 23:30配信

時事通信

 最後の1周。高木美は唇をきつく結んで一歩一歩前に進んだ。滑り終わった瞬間、メダルの色が分かる最終組。ゴールしてすぐに電光掲示板を見詰めた。歴戦のブストには及ばなかったものの2位。天を仰いだ後、両手を2度高く突き上げる。五輪のメダルをつかんだ感慨を味わった。
 しかし、それも一瞬。1位との差が0秒20と知り、「金メダルを逃した悔しい思いがこみ上げてきた」。目を潤ませながら向かったのはナショナルチームのデビット中長距離ヘッドコーチのいる所。スポーツ科学やデータを駆使した理論的な指導で、才能を引き出した恩人から「誇りに思う」と抱きしめられ、涙が頬を伝った。
 デビット氏は2015年春に来日する前、姉の菜那が所属していたスケート王国オランダのクラブチームで指導者だった。教え方など詳しい話を聞いていたわけではなかったが、「姉がその年にすごく伸びたので、会う前から少なからず信頼感はあった」と振り返る。
 実際に教わり始めて「真面目だと思う部分がたくさんあった」。コーチはトレーニングの量、強度、負荷を増減させる年間計画を立て、全てに根拠を示した。レース前に確認する注意点はぶれない。高木美は自分の性格について、頑固だがひとたび納得すれば「完璧でありたいと努力ができる」と言う。明快な指導方法が合っていた。
 レース直後、いつも内容を自己分析する高木美。デビット氏とのやりとりの中で、収穫も課題も明確になった。昨年10月の全日本距離別の1000メートルで小平に勝てず悩んでいた時は「600からのラップを維持できたのは1500につながる」と前向きに指摘。「そうだよな」。深くうなずく自分に気づいた。
 相性の良い指導者の下で、長足の進歩を遂げてきた3年間。今では、銀メダルでも満足できなくなった。しかし悔し涙の中に「ここまでこられた」といううれし涙の味が、確かに入っていた。(時事)

最終更新:2/13(火) 11:44
時事通信