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鉄道、高速道路で導入相次ぐ「省エネ型」除雪対策 CO2排出、腐食削減など期待

2/13(火) 9:15配信

産経新聞

 鉄道会社や高速道路会社が降雪対策でも環境負荷低減に向けた取り組みを強めている。JR東日本は新幹線の高架に温水をまいて積雪を防止する際のエネルギー効率を高める省エネ型散水消雪設備制御システムの開発に成功、豪雪地帯を運行する上越新幹線の一部で採用した。同社によると、同システムの導入により、従来に比べ二酸化炭素(CO2)排出量の10%削減効果が期待できるという。

 JR東日本が取り組んだのは、新幹線の散水消雪設備の省エネ化だ。同設備は河川などから取り入れた水を温めて、新幹線の高架上にスプリンクラーで散水して積雪を防止するもの。雪を溶かすには水温を8~12度程度まで温める必要があり、同社はこれを熱源機で温めていた。

 現在、上毛高原駅(群馬県)-新潟駅(新潟市)の32カ所の消雪基地のうち29カ所で熱源機が稼働しており、平成28年度は熱源機の稼働のため約7000キロリットルの灯油を消費した。

 折しもJR東日本は、28年11月に策定した「技術革新中長期ビジョン」に基づき、「エネルギー・環境」の分野において省エネ技術の実現に向けた研究開発を推進していた。

 このため、研究開発センター環境技術研究所の八木秀隆主幹研究員は「(一義的には)安全安定輸送、高速走行の維持のための設備だが、一方で、これだけのエネルギー消費量なら環境負荷低減のため省エネ化を検討する意義があると考えた」と振り返る。

 散水消雪設備での運用状況を検証した結果、複数台設置した熱源機の稼働にばらつきがあること、熱源機の出力調整機能が3段階のため熱を作りすぎていることが分かったという。散水温度は気温と降雪量、回収水温を基に調整するが、不要の高温になってしまっていたのだ。

 このため、メーカーと共同で新型の高出力型熱源機を開発し、中島消雪基地(新潟県長岡市)に29年11月に配備した。新システムでは、これまで捨てていた余熱も有効活用するために、真空式温水機では初めて、複数ある熱源機の運転効率を比較し、運転の優先順位を決定する機能を採用した。

 同時に、出力を25%向上させつつ、既存熱源機の設置スペースで置き換えが可能な省スペース型とした。さらに、状況に柔軟に対応して適正量の熱をつくることができるよう、熱源機の出力を33~100%の間で任意に制御可能(既存熱源機の出力は停止・50%・100%の3段階)にした。

 この新たなシステムによって、燃料消費量とCO2排出量の10%削減が期待できるという。中島消雪基地での運用結果を踏まえ、設備更新時に他基地での置き換えを進める方針。

 一方、高速道路会社のNEXCO中日本は、富山県立大学などと共同で橋梁(きょうりょう)鉄筋などの金属腐食を減らすため、食品保存料に使われるプロピオン酸ナトリウムを用いた凍結防止剤を開発した。従来は凍結防止効果や価格面などから塩化ナトリウム(NaCl)を使ってきたが、コンクリート製橋梁で塩害劣化が相次ぎ、代替品の検討が必要となったためだ。

 NEXCO中日本では3~4月に、東海北陸自動車道白川郷インターチェンジ(IC)-五箇山IC間で、NaClにプロピオン酸ナトリウムを1割混合した凍結防止剤を試行導入し、作業性や路面の滑り抵抗性、金属腐食抑制効果などを検証することにしている。(経済本部 日野稚子)

最終更新:2/13(火) 9:15
産経新聞