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自分が精子提供によって生まれたことを知ったとき

2/12(月) 9:30配信

The Telegraph

【記者:Kate Graham】
 ジェスさん(37)が母親からその話を聞かされたのは、2008年8月の日曜の午後のことだった。今では自分も2人の子を持つ彼女に、母親は「話がある」と切り出した。「母は涙ぐんで震えていました」。次にジェスさんが聞いた言葉は全く思いもよらないものだった。「あなたのお父さんは本当のお父さんではないの」

 母親のジャッキーさんがジェスさんを身ごもった時、それが英ロンドンの体外受精(IVF)クリニックを介した精子提供の結果だということは、秘密にされた。

「母は私がどう反応するか、恐れていた。二度と口を利かなくなるんじゃないかとか。でも、夢にも思わなかったようなその話を聞いている間、私は泣かなかった。まるで自分の体から意識が抜け出したみたいになって、ただそのことを受け入れただけだった」(ジェスさん)

 だがジェスさんは、母親がこれほど長く秘密にしてきた理由を知りたいと思った。「医師たちに、誰にも言わない方がいい、家庭医にさえも口外しないようにと助言されたのだと、母は私に言った。私はその時も今も母を責めたりしていない」

 今日では、英国で医師からこうしたアドバイスを聞くことはないだろう。13年前の法律改定により、卵子と精子の提供者は匿名でいることはできなくなったのだ。2005年4月1日以降に体外受精によって生まれた子どもは全員、18歳になったときに提供者の氏名(および病歴などの情報)を知る権利を持つことになったからだ。

 だが、子どもが体外受精によって生まれたことを本人に告知することを、親に強制するものは何もない。ケンブリッジ大学(University of Cambridge)の研究者による最近の小規模な調査によると、実際には、卵子提供による妊娠で生まれた子どもの約半数と、精子提供による妊娠で生まれた子どもの4分の3近くが、7歳までに告知されていなかったことが明らかになった。親たちが挙げた主な理由は「話す必要がないから」が一番多く、次いで子どもを「保護したい」というものだった。

 英ケント(Kent)州に住むサラさん(38)は、両親と兄のベンさんの4人家族の下で育ったが、父親のフィリップさんがよそよそしく他人行儀なように感じ、居心地が良くなかった。両親は彼女が18歳の時に離婚。フィリップさんとは疎遠になった。

 サラさんは30歳になると発作の症状が出始めたため、父フィリップさんの病歴について母レベッカさんに尋ねた。レベッカさんはうろたえた。数週間後、家族のパーティーで、レベッカさんの再婚相手のアンドルーさんが思わず「フィリップは君の父親ではない」と口を滑らした。耳を疑った。怒りは否定したい気持ちへと変わった。

 翌日の夜、アンドルーさんがすべてを打ち明けてくれた。フィリップさんは幼少時に患ったおたふく風邪が原因で不妊症だった。レベッカさんはクリニックで精子提供を受け、同じドナーの精子でサラさん兄妹が生まれたが、事実を子どもたちに告げるつもりはなかった。

「それは体に一撃を受けた後にさらにショックを受けたみたいだった。そしてパニックになった。私はいったい誰?なぜ母はこのことを私に隠していたの?そして子ども時代からつじつまの合わなかったこと全てが、ひどい形で腑に落ちた。私の外見や性格が両親ととても違うことや、父の私への接し方全てが。私は父とつながっている気持ちを抱いたことがなかった。父は兄と私に冷たかった。なぜそうだったのか、突然、分かった」

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最終更新:2/12(月) 9:30
The Telegraph

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