ここから本文です

「世界最薄」0.0000003mm有機分子膜 記録媒体や画面省エネ化 千葉大など開発

2/12(月) 8:39配信

千葉日報オンライン

 千葉大学などの研究グループは、電子機器の記録媒体やスマートフォン画面に使われている「有機分子膜」を300万分の1ミリまで薄くすることに成功した。膜を乗せる基板を金から鉄磁石に変えることで分子の動きを安定化。従来の厚みと比べると3千分の1で、常温下で使える有機分子膜としては「世界最薄」としている。記録媒体の極小化や、画面の消費電力を抑える省エネ化につながる技術だという。

 千葉大によると、現在、一般的に使われている有機分子膜の厚さは約千ナノメートル(千分の1ミリ)。素材はボールペンのインクにもなる「フタロシアニン分子」で、従来はこれ以上薄くすると、室温20度以上で分子の動きが活発化してしまい、分子の間に隙間が発生。電気が流れなくなって発光や情報記録の性能が発揮できず、実用性がなかった。

 実用性を確保し、より薄くする研究は2010年ごろから開始。分子膜の基板を一般的な金から、鉄磁石に変えると、分子が強く吸着されて動きが止まり、隙間も生じない状態で安定すると分かった。鉄はさびやすく基板に向かないと考えられていたが、千葉大にはさびにくくする技術があり、応用できたという。

 その結果、室温20度の環境でも分子膜を0・3ナノメートルまで薄くすることに成功。この薄さは原子と同等で、物理的な限界値という。

 有機分子膜は、スマホやパソコンといった電子機器のハードディスクなどに採用され、磁気で情報を記録。一層薄くなることで、より多くのデータを蓄積したり、データ量を維持したまま機器の小型化を図れる。

 発光性能を生かしてスマホや有機ELテレビ、パソコンの画面にも使われているため、薄くなった分子膜で消費電力を減らす省エネ効果が期待。膜の素材自体も少なくて済み、低コスト化にもつながるという。

 研究の中心となった千葉大の山田豊和准教授(表面科学)は「記録媒体をさらに小さくすることは情報量の多い人工知能を作ることにつながり、ロボットに利用する研究も行っている。データは論文で公開しているので多くの人に活用してほしい」と展望を語った。

 京都大とも連携した研究成果は、英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」(電子版)に掲載された。