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浅原が見せた必死のシャトルラン 4週間限定招集から不可欠な一員へ

2/12(月) 11:21配信

ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン)

 2016年に新規参入したものの、黒星が目立って大敗することも多く、「スーパーラグビーをなめている」とも言われたことがある日本のサンウルブズは、2018年大会へ向け、ハードなプレシーズンを送っている。南半球の猛者たちが集うスーパーラグビーでトップ5を狙うと宣言した。新たな指揮官となったジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチ(2015年にハイランダーズを優勝に導いた)も選手たちも、活力にあふれている。

 過去2年間、サンウルブズは最後の20分間で足が鈍り、クロスゲームを落とすことが多かった。なので、肉体的にも精神的にもタフになる必要があり、限界まで追い込むトレーニングをおこなっている。連係確認、実戦形式などボールを使った練習の合間に、フィットネス強化の厳しいメニューが組まれ、呼吸を激しくしながらタックルバッグに何度も突き刺さり、転がって、起きて、走って……。午前も午後も、2時間前後の練習中、何度が水分を口にしたが、休むことはほとんどない。

 2月8日、北九州合宿最終日。この日も厳しいトレーニングがおこなわれていた。そして、ゴールラインから22メートルラインの間でシャトルランが繰り返されていたときだった。練習を見に来ていたファンが思わず大きな声で仲間に言った。
「スゲーなあの選手…。オイ、あれ、まさか浅原? スゲーな浅原!」

 怪我などで別メニューをおこなっていた選手以外、FW・BK約30人が参加したシャトルランで、常に先頭を走っていたのが、体重112キロの30歳プロップ、浅原拓真だった。
「ハッハッハッハッハ。ああいうの得意なんで。自分的には、得意な部分でちょっとでも目立っていたらいいかなと。アピールポイントでもあるので、ハイ」

 実は、浅原はHO日野剛志とともに、4週間の期間限定招集メンバーとしてプレシーズン合宿に参加している。
「自分はサンウルブズのスコッドには入っていなかったんですけど、(同じプロップの)ルアーン・スミスが事情があって来れなくて、その代わりに自分が招集された形です。来たからにはしっかり楽しんで、残れるようにがんばっています」

 タフで、逆境を乗り越えてきた男だ。東芝ブレイブルーパス2年目だった2011年度から、7季連続でトップリーグ全試合出場。2013年6月のフィジー戦後しばらく、日本代表キャップを重ねることができず、2015年のワールドカップメンバーにも選ばれなかったが、エディー・ジョーンズ ヘッドコーチが率いるジャパンがイングランドで歴史的3勝を遂げたあとに開幕したトップリーグで、最初の2試合こそ法政大の後輩である石澤輝に背番号3を取られていたが、第3節から奪い返し、そのシーズンに初めてベストフィフティーンに選出された。そして、2016、2017年とサンウルブズに参加してスーパーラグビーでの活躍も認められ、日本代表に復帰。昨秋のオーストラリア代表戦でも3番をつけ、日本代表キャップ数を9に伸ばしている。

 期間限定とはいえ、3年連続でサンウルブズに呼ばれ、別府・北九州での合宿は「めちゃくちゃ充実しています」と言う浅原。「久しぶりというか、初めてかもしれないですね、これだけきついプレシーズンは。ちゃんと、ラグビーで一番きつい、みたいな。陸上部のような練習とかたまにあるんですけど、じゃなくて、ちゃんとラグビーをやって、こんだけきついというのはなかなかないんで。いい刺激になってます。本当に」

 今年のサンウルブズのフロントローは、石原慎太郎、ヴァル アサエリ愛といった新しい日本代表PRだけでなく、ルアーン・スミス、クレイグ・ミラー、ヘンカス・ファン・ヴィックといった外国出身PR、それにジョージア代表HOジャバ・ブレグバゼと、サンウルブズ初参加の選手が多い。
 戦力が充実して競争は激しいが、浅原はそれを歓迎し、コミュニケーションも問題ないという。
「絶対にいいこと。きょうみたいなきつい練習のなかでも競って競って、上達できたらすごくいいことだと思うんで。間違いないです(笑)。スクラムはサンウルブズの組み方があるので、まだちょっとフィットしていない選手もいるんですけど、慎さん(長谷川スクラムコーチ)もすごい情熱をもって指導してくれますし、自分らは結構理解できているので、練習のあとちょっと教えたりしてるので、すぐに慣れると思います」

 明るい性格、強い意志。サンウルブズに絶対必要な人だ。あの浅原のシャトルラン、必死の形相を、ジョセフ ヘッドコーチは確かに見ていた。

 浅原自身の今年のテーマを訊いた。
「とにかくハードワーク。ハードワークして、妥協なくやっていきたいなと、今年結構思ってやってます」

 サンウルブズは今季第1戦を2月24日に東京・秩父宮ラグビー場で迎える。1月下旬の始動から4週間が経ってからも、浅原の挑戦は続く。