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小値賀島、カレーでPR 特産の落花生使い開発 鎌倉の男性が島おこし

2/12(月) 18:38配信

カナロコ by 神奈川新聞

 長崎県・五島列島に浮かぶ「小値賀島(おぢかじま)」をPRしようと、鎌倉でスパイスの輸入卸を手掛けるインド人男性が島の地域おこし協力隊とタッグを組み、新たな“ご当地カレー”を生み出した。島特産の落花生で作ったペーストをたっぷり使い、辛みとコクが絶妙な「ピーナッツカレー」だ。豊かな自然と食に恵まれ、今も自給自足や物々交換が息づく同島。「こんなに素晴らしい島はない。ぜひ一度足を運んでほしい」。関係者の思いは膨らむ。

 開発したのは、スパイス輸入卸「アナン」(鎌倉市極楽寺)を営むメタ・バラッツさん(33)と、大阪出身で3年前から小値賀島に暮らす溝端裕子さん(27)。鎌倉出身のバラッツさんは父親がインド人、母親が日本人で、西インドのグジャラートにルーツを持つ。社業の傍ら、飲食店経営者らカレーを愛する4人組「東京スパイス番長」のメンバーとして全国各地で料理教室やイベントを開き、スパイスのおいしさを伝える活動も行う。

 小値賀島は五島列島の北端に位置し、福岡からはフェリーで5時間。人口わずか2500人ほどの小さな島だ。四方を海に囲まれ、懐かしい日本の原風景が残る島として「日本で最も美しい村」にも選ばれている。「魚のお礼に野菜をどうぞ」-。そんな物々交換が今も残り、溝端さんも「みんな幸せ。コメはもちろんパッションフルーツやマンゴーなど、取れる農作物が豊富」と魅力を語る。

 今や「島の宝」とされる落花生も特産品の一つ。戦時中に食べ物が手に入らず、大人が「子どものおやつ代わりに」と作ったのが始まりだという。太陽をたくさん浴びた赤土で育つ落花生はコクがあり、かみしめると口いっぱいに香ばしさと甘さが広がる。

 ただ、島は人口が減り、高齢化が進む。「島に来てもらうきっかけをつくりたい」と持ち掛けたのは溝端さんだった。「(大阪に住んでいた)中学時代からアナンのスパイスが好き」といい、バラッツさんとは広島・尾道で昨春開かれた講座で初めて顔を合わせた。

 バラッツさんも東日本大震災後、宮城県女川町で復興支援のためのカレーを作った経験があり、提案を快諾。昨年11月には鎌倉で一緒に試作を重ねた。ナッツ類でコクを出す北インドカレーをイメージし、甘い香りと苦味が特徴のフェンネルやカルダモンなどにピーナツペーストを合わせ、1月下旬に完成した。

 「カレーを作るまで島のことも落花生が有名なことも知らなかった。新しい経験だった」とバラッツさん。溝端さんも「大満足」と笑顔を見せ、「カレーを通して島を知ってほしい。今後は全国各地のイベントで提供したい」と意気込んでいる。

 アナンが展開する「カレーブック」のシリーズとして、2月中旬から700~800円で同社などで販売予定。4人分のスパイスミックスとピーナツペースト、レシピや島の説明が付く。別途鶏肉やトマト、ニンニク、ショウガ、タマネギなどの食材が必要で、「あごだしやココナツミルク、魚を入れてフィッシュカレーもできる」とバラッツさん。オンラインストア「インターネット・オブ・スパイス」でも販売する。問い合わせは同社電話0467(25)6416。