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マクラーレンの新型ハイパーカー「セナ」について知っておくべき6つのこと

2/12(月) 21:40配信

Autoblog 日本版

マクラーレンは、新型スーパーカー「セナ」が醜いと言われても気にしない。なぜかというと、75万ポンド(約1億1,300万円)という価格にも関わらず、限定生産する500台が全て予約で完売したからだ。そのうち約3分の1は米国へ渡るという。
「美しさは追求していません。アルティメット・シリーズのクルマはそれぞれ1つの分野を追求しています。セナの場合は、エアロダイナミクスとサーキット走行におけるパフォーマンスが第一なのです」とマクラーレンのマイク・フルーウィットCEOは語る。

それでもまだ、このカッコに納得いかないという方は、もう少し話を聞いていただきたい。



速さはマクラーレン「P1」に及ばない

もしマクラーレン「P1」に電気モーターやバッテリーが搭載されておらず、重量もそのぶん軽かったらどんなクルマになるだろうか? その答えがまさしくセナだ。もちろん、進化した「720S」の4.0リッターV8エンジンが発生する最高出力800psは、電気モーターも合わせたマクラーレン P1の916psには届かない。だが、セナの最大限に削減された1,198kgという乾燥重量はP1より197kgも軽く、電気モーターを持たない代わりに2基のツインスクロール・ターボチャージャーでトルクを補っている。

理論上、P1のパワートレインによる速さは素晴らしい。0-100km/h加速はわずか2.8秒、0-200km/h加速は6.8秒。0-200km/h加速は720Sより1秒も速い。そしてP1の0-300km/h加速は16.5秒と、セナより約0.5秒速い。最高速度もセナの340km/hに対し、P1は350km/hとなっている。しかし、セナには次世代のアクティブ・エアロダイナミクスとレースアクティブ・シャシー・コントロールII(RCC II)が搭載されている。P1よりコーナーを先に抜けることができるだろう。


機能を考えれば、その外観に納得

奇妙なフロントのオーバーハング、未完成のようなホイールアーチ、大きく開いたインテーク、そびえ立つ巨大なリア・ウィングを備えたセナは、一般的な意味で美しいとは言えない。マクラーレンのソーシャルメディア・マネージャーもその通りだと同意し、ため息をつきながら「写真撮影するのが難しいクルマです」と語っている。引き締まって官能的なP1と比べると、セナは2008年にルイス・ハミルトンがチャンピオンを獲得した「MP4-23」のような、複雑なエアロダイナミクスでごちゃごちゃと飾り立てられたF1マシンとの共通性を感じさせる。だが、アグレッシブさに驚かされるフロントビューから、全体的な空気の流れを直観的に想像させ、エアロダイナミクスの働きを視覚的に納得させることにセナは成功している。


過度なダウンフォース

P1が上品なハイパーカーからサーキットの怪物に変身できるトンラスフォーマーであるならば、セナは不変的なサーキットの怪物だ。もし、貴方が自分の雄々しさを証明するために、P1を常にレース・モードで運転しているような人なら、これは吉報と言える。リア・ウィングの可動範囲は25度で、これが250km/hで走行時に約800kgのダウンフォースを生み出すことに貢献する。なお、同じ速度で発生するP1のダウンフォースは約600kgだ。一方、フロント・フェンダーに組み込まれたコントラスト・カラーが効いた可動式のエアロブレードは、アンダーフロアのエアフローを調節して常に空力バランスを最適化する。ブレーキング時にはフロントアクスルに最大のダウンフォースを与え、速度が約250km/hを超えると、エアロダイナミクスを生み出す全ての要素が、空気抵抗を低減させる状態に移行する。



加速のことは忘れよう。重要視されたのはコーナリングとブレーキングだ

P1と同様、レース・モードに切り替えると、セナのRCC II油圧サスペンションはサーキット走行に最適な設定に切り替わり、フロントの車高が1.5インチ(約3.8cm)、リアは1.2インチ(約3cm)下がる。スペインでセナを走らせたばかりだというプロジェクト・マネージャーのイアン・ハウシャル氏は、「シャシーとエアロの双方による働きが、ドライバーに大きな自信を与えてくれます」と語る。「P1と比べると、ブレーキを踏むのも、ステアリングを切るのも、より遅らせることができ、そして早くアクセルを踏めるのです。これを可能にしているのがダウンフォースです。フロントからリアまで絶えず調整されるので、空力バランスは常に最適に保たれます」。ブレーキを遅らせるドライビング・スタイルがお好みなら、セナが200km/hの速度から720Sよりも17mも短い距離で停止することができるという事実を好ましく思うに違いない。これはどんなサーキットでも威力を発揮するだろう。シートにしっかりと身体を締め付けておこう。


ラップ・タイムが重要(ただし具体的なタイムは聞かないこと)

フルーウィットCEOを筆頭に、マクラーレンの誰もが、セナの開発においてはラップ・タイムが最優先事項だったと答えるだろう。この分かり切った質問をアルティメット・シリーズを統括するアンディ・パーマー氏にぶつけてみた。具体的なラップ・タイムとそれが記録されたサーキット名を教えてほしいという我々の問いに対して、同氏は「弊社の基準において、また他社との比較において、新たなベンチマークを作ることができました。記録は満足のいく結果となりました」と淡々と語るに留まった。実際のタイムを公表せずにラップ・タイムを強調することについては「私たちはP1のタイムも公表しておらず、また具体的なサーキット名を挙げると、ニュルブルクリンクのラップ・タイムはどうなのかと言われてしまうでしょう。よって、実際のタイムは公表していません」と述べた。ラップ・タイムが重要であることは確かだが、具体的な数字についてはドライブする貴方次第だ。



800馬力という最高出力はあまり重要ではない

「M840TR」型フラットプレーンV8は、基本的に720Sに積まれている4.0リッター・エンジンの進化版だ。カーボンファイバー製のインテーク・プレナムは約2.9kgと、720Sのアルミ製と比べてほぼ半分の重さしかない。さらに改良されたカムシャフト、軽量ピストン、チタンとインコネルで作られたエキゾーストが採用されている。その排気は通常時にはセンター・パイプを通るが、本気でスロットルを開けるとマフラーをバイパスし別の2系統から排出される。登録する国の基準によってはマフラーと3番目のパイプを完全に除去することさえ可能だ。

セナを開発したエンジニアが、いかに固定観念を捨てドライビング体験を高めることについて語ったか、その言葉を例として挙げてみよう。「完全なローネス(ひりひりする生々しさ)」「小石がインナーフェンダーを叩く音」「エンジン回転の高まりが全てカーボン製の車体を通して感じられる」「ステアリングからの純粋なフィードバック」「ルーフトップに備わるシュノーケルを通じて急速に空気を取り込む」。

これら全ての機能的な獣性によって、マクラーレンはセナが感覚的なレベルで魅力的なクルマとして設計されたということを知ってもらいたいのだ。それは公道を走るような速度であっても、だ。

それでも快適装備がなければ生きていられないという方には、エアコンや革張りで幅広のシート、重量をわずか7.32kgに抑えたというバウワース&ウィルキンスの専用オーディオ・システムも用意されている。


By DAN TRENT
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

Autoblog Japan Staff

最終更新:2/14(水) 5:45
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