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平昌五輪 高木美「銀」 天才少女が勝負師に成長 スピード女子1500

2/13(火) 7:55配信

産経新聞

 23歳になって迎えた2度目の五輪で強烈な輝きを放った。高木美帆が銀メダルをつかみ、スピードスケート女子では1998年長野大会の岡崎朋美さん以来、20年ぶりの個人種目でのメダルを日本にもたらした。15歳で1000メートル最下位、1500メートル23位だったバンクーバー大会から8年。素晴らしい滑りを披露した。

 最終組で世界記録保持者のヘザー・ベルフスマ(米国)と同走しても自らの滑りを崩さずゴールした。順位を確認すると両手を突き上げ歓喜の涙を流した。

 北海道幕別町出身。兄の大輔さん、同じ平昌五輪代表で姉の菜那と一緒に競技を始め、幼い頃から地元で評判の天才選手だった。

 小柄で負けん気の強い姉とは対照的に、どこか淡々としていた。

 知人は口をそろえてかつての姿をこう評す。「人に勝ちたいとは思わず、関心は自分の道を究めること」-。父の愛徳(よしのり)さんは「学校のテストも、人より良い点を取りたいというより、解けないのが悔しくて勉強していた」と振り返る。負けても狙った記録を出せばガッツポーズし、勝ってもタイムに納得しなければ喜ばなかった。

 前回ソチ大会の代表選考会は、淡泊さが裏目に出た。3種目で狙った代表の切符を1枚もつかめず、「未熟だった」とうつむいた。

 ある人物との出会いが、埋もれかけていた才能を再び呼び覚ました。ソチ大会後、ナショナルチームに加入したオランダ人のヨハン・デビット・コーチだ。

 2年前、ベルリンで行われた世界選手権でのこと。3大会連続で五輪の金メダルを取ったイレイン・ブスト(オランダ)の滑りを見つめて「やっぱり強いね」と何げなくつぶやくと、デビット・コーチは「なぜ、同じ人間ができたことなのに、自分はできないと思うんだ。俺なら『自分もできる』って思うぞ」と返してきた。心に刺さった。

 それから2シーズン。高木美は勝ちへのこだわりを表に出すようになった。昨年12月、ワールドカップ第4戦の1000メートルで同走した小平奈緒が世界記録を更新すると「どうやったら勝てるか突き詰めたい」と、悔しさを隠さなかった。

 10日の3000メートルで5位入賞。メダルに届かなかった要因を「単に表彰台に乗る実力がなかった」と冷静に分析し、1500メートルへと気持ちを切り替えた。天賦の才に恵まれた少女は“勝負師”へと変貌し、日本のエースに成長した。(大宮健司)

最終更新:2/13(火) 7:55
産経新聞