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石牟礼道子さん残した能、今秋上演 天草が舞台「沖宮」

2/13(火) 7:23配信

朝日新聞デジタル

 水俣病を描いた小説「苦海浄土」で知られ、10日に90歳で亡くなった作家、石牟礼(いしむれ)道子さんの新作能「沖宮(おきのみや)」が今秋、上演される。衣装を監修するのは、紬織(つむぎおり)の人間国宝、志村ふくみさん(93)=京都市在住。自然と人間の関係について、対話を続けてきた2人の友情の結晶となる舞台だ。

【写真】志村ふくみさん

 30年来の親交があった石牟礼さんと志村さん。東日本大震災後の2011年秋、新作能の構想を温めていた石牟礼さんが「志村さんのお仕事で能装束を仕上げたいというのは長年の秘(ひそ)かな念願でございました」と手紙を送った。

 志村さんは快諾。長女で染織家の洋子さんと、熊本の石牟礼さんを訪ね、能衣装の相談をするかたわら、東京電力福島第一原発事故など自然と人間の関係について思いを語り合ってきた。

 その後、石牟礼さんが書き上げた「沖宮」は、島原の乱(1637~38)が終わった後の天草(熊本県)が舞台。天草四郎の乳きょうだいで、戦乱で孤児となった少女あやは、干ばつに苦しむ村のため、竜神のいけにえに選ばれる。緋(ひ)色の衣をまとい、海の底へと沈んでいくあや。その魂を迎えに、四郎の霊が現れる。やがて村に恵みの雨が降り始めるという物語だ。

朝日新聞社