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蝉丸が最強、坊主めくりに大津ルール 最後までスリリング

2/13(火) 11:40配信

京都新聞

 子どものころ、百人一首の絵札で「坊主めくり(お坊さんめくり)」をしたことがあるだろうか。僧侶の札を引くと持ち札が没収される基本ルールに、「これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関」の歌で知られる大津ゆかりの蝉丸を「最強」とするなどの「大津ルール」が昨年、逢坂山に近い三つの商店街で誕生した。200人規模の大会や2カ月に1度の体験会、お酒を飲みながら楽しむバーまで「開店」し、地域おこしに一役買っている。
 1月中旬の夜、丸屋町、菱屋町、長等の3商店街(通称ナカマチ商店街)に近いカフェ。月に1度の「お坊さんめくりBAR(バー)」に、30~70代の男女約10人が集まってきた。冷たい飲み物とつまみで小腹を満たし、世間話で場が和むと、近くのインターネットラジオ局でパーソナリティーを務める「豊パパ」こと豊田一美さん(70)が、緋毛せんのテーブルにメンバーを誘った。「さて、やりましょか」。
 「大津ルール」は簡単。伏せたまま五つに分けて置いた絵札を好きな場所から順番に1枚ずつ引く。「殿」や「姫」、「天皇家」の札なら、そのまま自分の手持ち札になる。「お坊さん」が出ると手持ち札は全て没収され、中央に出す。放出された札は、次に「姫」や「天皇家・女性」などを引いた人の手持ち札に加えられる。さらに「天皇家」の場合は隣の人の持ち札もわが物に。「やった、姫や」「お、天皇家。悪いな、もらうで~」。札の束が目の前を行き来して、歓声も大きくなる。
 勝負を左右するのが蝉丸の札だ。もともと地方や家庭によってさまざまなルールが混在していた坊主めくり。蝉丸についても、僧侶札の1枚ととらえる向きもあれば、全員の持ち札が没収されるというルールもあった。ナカマチ商店街の振興を図る「ナカマチを元気にする会」が昨年8月に初の大会を開くに当たり、統一ルールを検討した。蝉丸は、先にルールをまとめていた山口県内のかるた会の遊び方でも自分と両隣の人の持ち札が没収されてしまう。大津ゆかりの蝉丸を「残念な」札にしたままで良いのか-。議論の末、逆に全員の手持ち札までもらえる「最強」札とした。ゲーム名は山口にならい、僧侶に配慮して「お坊さんめくり」とした。
 幼児からお年寄りまで約200人が参加した昨夏の大会でチャンピオンになったのは、元教員鞍貫正道さん(61)=同市梅林1丁目。バーでも、持ち前の勝負強さで1番を連取した。「総取りや横取りがある『大津ルール』は、最後まで勝負が分からなくてスリリング」。持ち札の多い人から順に手のひらを置き、重ねた手をたたく罰ゲームを組み合わせれば、抜群の余興に。バーには本物の僧侶が訪れることもある。
 「お坊さんめくり」の考案者で、外国人にも普及活動をする競技かるた元クイーンの今村美智子さん(64)=山口県宇部市=が聞いたところでは、蝉丸のルールには多くのバリエーションがあり、「引いた人が踊る」という独特のルールもあったという。なぜ蝉丸だけが、これほど特別なのだろうか。

最終更新:2/13(火) 11:40
京都新聞