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【本日発売】GPU内蔵になったRyzenの性能をベンチマーク

2/13(火) 9:30配信

Impress Watch

 2月13日の発売に先立ち、Raven Ridgeこと「Ryzen Desktop Processors with Radeon Vega Graphics」をテストする機会が得られたので、GPU統合Ryzenの実力をベンチマークテストでチェックしてみた。

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■Ryzen 5 2400GとRyzen 3 2200Gをテスト

 Ryzen Desktop Processors with Radeon Vega Graphicsは、Zenマイクロアーキテクチャを採用したCPUであるRyzenに、Vegaアーキテクチャを採用したGPUを統合したAPUだ。製品ラインナップはRyzen 5 2400GとRyzen 3 2200Gの2製品。

 CPUソケットにはSocket AM4を採用しているため、対応版UEFI適用されていれば既存のSocket AM4マザーボードで動作する。ただし、Ryzen 7 1800Xをはじめとする既存のCPU版Ryzenでは16レーン備えているビデオカード接続用のPCI Express 3.0 レーンが半分の8レーンとなっているため、CPU版のRyzenとは利用できる機能に違いがある場合がある。

 上位モデルであるRyzen 5 2400Gは、4コア8スレッドCPUに11基のCU(Compute Unit)を備えたGPUコア「Radeon Vega 11」を統合している。L3キャッシュは4MBで、メモリコントローラはDDR4-2933に対応しており、TDPは65W。

 下位モデルではRyzen 3 2200Gでは、CPUではSMTが省略されて4コア4スレッドに減らされた他、GPUコアのCU数も8基に減じられている。L3キャッシュやメモリコントローラの仕様はRyzen 5 2400Gと同等だが、CPUコアとGPUコアの動作クロックはやや低くなっている。

■テスト機材 ~ AMDのレビュアーズキットを使用

 今回テストに用いるのはAMDより借用したレビュアーズキットだ。レビュアーズキットには、製品版と同じパッケージ版のAPU2つのほか、GIGABYTE製のB350チップセットを搭載Mini-ITXマザーボード「GA-AB350N-Gaming WIFI」と、DDR4-3200動作に対応するG.Skill製オーバークロックメモリ「F4-3200C14D-16GFX」が同梱されている。

 APUの検証に際してはこのレビュアーズキットの機材を使用しているが、メモリに関してはAPUがサポートする最大クロックであるDDR4-2933相当にダウンクロックして使用している。

 比較対象には、IntelのCoffee Lake-Sベースの6コア6スレッドCPU「Core i5-8400」と、Kaby Lake-Sベースの2コア4スレッドCPU「Core i3-7100」を用意した。その他の機材については以下の通り。

■ベンチマーク結果

 それではベンチマーク結果を確認する。今回実施したのは、「CINEBENCH R15(グラフ1)」、「HandBrake 1.0.7(グラフ2)」、「TMPGEnc Video Mastering Works 6(グラフ3)」、「PCMark 10(グラフ4)」、「SiSoftware Sandra Platinum(グラフ5~11)」、「3DMark(グラフ12~16)」、「VRMark(グラフ17~18)」「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク(グラフ19)」、「League of Legends(グラフ20)」、「Dota 2(グラフ21)」、「オーバーウォッチ(グラフ22)」、「ダークソウル3(グラフ23)」。

 CPUでのCGレンダリング性能を測定するCINEBENCH R15では、シングルコア性能でトップスコアのCore i5-8400 (175cd)に対し、Ryzen 5 2400Gが約91%となる159cd、Ryzen 3は約84%の147cdを記録。

 すべてのCPUコアを使用した際のスコアでも、トップスコアは6コアCPUのCore i5-8400が記録した945cdだが、4コア8スレッドCPUのRyzen 5 2400Gも833cdを記録しており、Core i5-8400の約88%に相当する性能を発揮している。4コア4スレッドCPUのRyzen 3 2200Gは上位2製品に水をあけられているが、Core i3-7100には1.4倍の差をつけている。

 動画エンコードソフトのHandBrakeでは、H.264形式とH.265形式のエンコード時間を測定した。ここでは6コアCPUのCore i5-8400が強みをみせており、2番手につけたRyzen 5 2400Gに対し、H.264形式では約77%、H.265形式では約60%の時間で処理を完了している。

 Ryzen 3 2200GはCore i3-7100に対し、H.264形式で約72%、H.265形式で約85%の時間で処理を完了している。

 TMPGEnc Video Mastering Works 6では、ソフトウェアエンコーダによりCPUを用いたエンコードのに加え、GPUが備えるハードウェアエンコーダを利用したエンコードもテストした。

 ハードウェアエンコードでは、H.264形式への変換においてAPUのハードウェアエンコーダがエラーにより利用できなかった。本来は利用できるはずの機能であり、ドライバやソフト側のアップデートにより今後利用できるようになるはずだ。H.265形式への変換ではIntel QSVよりはやや遅いものの、ソフトウェアエンコードの6分の1程度の時間で処理を完了しており、画質より処理時間を重視したい際には有用だろう。

 PCの総合性能を測定するPCMark 10では、内蔵GPUのパフォーマンスが反映されやすい「Digital Content Creation」と「Gaming」で強力なGPUを備えるAPUの強みが発揮され、Ryzen 5 2400GとRyzen 3 2200GがともにCore i5-8400を凌ぐスコアを記録した。

 CPUの演算性能測定するSandraのProcessor Arithmeticでは、Ryzen 5 2400GとRyzen 3 2200Gの整数演算での差が約11~14%程度の差である一方、浮動小数点演算ではSMTの効果で約53%差に拡大しており、Ryzen 5 2400GのスコアはCore i5-8400に匹敵している。

 マルチメディア性能を測定するProcessor Multi-Mediaでは、拡張命令セットを効果的に利用できるCore i5-8400が圧倒的なパフォーマンスを発揮しており、この結果が先の動画エンコードテストでのCore i5-8400の強さに繋がっている。

 暗号化処理性能を測るProcessor Cryptographyでは、メモリ帯域が反映されやすい「Encryption/Decryption Bandwidth」でDDR4-2933に対応したRyzen 5 2400GとRyzen 3 2200GがCore i5-8400を上回っている。「Hashing Bandwidth」でもRyzen 5 2400Gがトップスコアだが、スレッド数の差が効くためRyzen 3 2200GのスコアはRyzen 5 2400Gの6割程度となっている。

 メモリ帯域を測定するMemory Bandwidthでは、DDR4-2933メモリを使用しているRyzen 5 2400GとRyzen 3 2200Gが約33GB/secを記録している。

 3DMarkでは、比較的描画負荷の高いTime Spy、Fire Strike、Sky Diverの3テストではAPUがIntelの比較製品を圧倒しており、Ryzen 5 2400GはCore i5-8400の3倍近いスコアを記録している。Ryzen 5 2400GとRyzen 3 2200Gの性能差は20%程度となっている。

 描画負荷の低いCloud GateとIce Storm Extremeではフレームレートが高くなることでCPUに求められる性能が増すこともあり、描画負荷の高いテストに比べAPUとIntel CPUの性能差は縮んでいる。また、Ryzen 5 2400GのSMTが逆効果となってか、CPUスコアである「Physics Score」でRyzen 3 2200Gとの逆転が発生しており、Ice Storm Extremeでは総合スコアでもRyzen 3 2200Gが上回っている。

 GPU負荷の高いVRMarkでもCyan RoomとBlue Roomでは、スコア差にGPU性能の差が顕著にあらわれており、APUとIntelの性能差は2.5~3.2倍、Ryzen 5 2400GとRyzen 3 2200Gとの間には30%の差がついている。

 ただし、いずれのGPUもVRMarkが要求するフレームレートにはほど遠い結果であり、VR環境で利用するのに十分な性能は持っていない。

 ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマークでは、1,280×720ドットと1,920×1,080ドットの画面解像度で、「標準品質(デスクトップPC)」と「最高品質」の2種類の描画設定をテストした。

 1,280×720ドットの標準品質設定では、Ryzen 5 2400GとRyzen 3 2200Gが最高評価である「非常に快適」の基準である7,000のスコアを超えている。

 MOBAゲームであるLeague of Legendsでは、Ryzen 5 2400GとRyzen 3 2200Gであれば、フルHD解像度でも100fpsを超える高フレームレートでの動作が可能だ。

 同じくMOBAゲームのDota 2は、描画設定を最軽量の「最速」にするとIntelの内蔵CPUでも十分にプレイ可能なフレームレートを達成できるが、もっとも描画負荷の高い「Best Looking」では1,280×720ドットでも30fpsを割り込んでいる。これに対してRyzen 5 2400GとRyzen 3 2200Gは70fpsを超えており、1,920×1,080ドットでも30fpsを超えている。

 オーバーウォッチでも1,280×720ドットと1,920×1,080ドットでテストを実行した。Intel CPUではCore i5-8400が1,280×720ドットの描画設定「低」でかろうじて30fpsを上回ったが、同じ設定でのRyzen 5 2400Gは約100fps、Ryzen 3 2200Gが約86fpsと圧倒している。

 ダークソウル3では、1,280×720ドットで描画設定を落としても60fpsに達する製品は存在しないが、Ryzen 5 2400GとRyzen 3 2200Gであれば、描画設定を高めても30fps以上の動作が狙える。1,920×1,080ドットになると、描画設定を落としても30fpsの維持は厳しいようだ。

 ベンチマーク実行中のピーク消費電力とアイドル時の消費電力をワットチェッカーで測定した結果が以下のグラフだ。

 アイドル時の消費電力は25W前後で横並びとなっており大きな差はついていない。CPUをフルに活用するCINEBENCH R15のAll CoreやTMPGEnc Video Mastering Works 6では、Ryzen 5 2400Gが93~96W、Ryzen 3 2200Gが66~71Wを記録。Ryzen 5 2400Gの消費電力はCore i5-8400とほぼ同等だが、CPU系ベンチマークテストの結果を考えると電力効率はCore i5-8400の方が高いようだ。

 一方、GPUを活用する3D系のベンチマークテストでは、Ryzen 5 2400Gが65~103W、Ryzen 3 2200Gが61~89Wとなっている。CPUベンチマークでは30W前後の差がついていた両APUだが、GPU負荷がメインとなるテストでは10W前後まで縮んでおり、テストによっては差がついていないものもある。

 HWiNFO64を用いてCPU温度を測定した結果が以下のグラフだ。CPUクーラーにはパッケージに付属する純正クーラーをファンスピード最大(約1,800rpm)で動作させている。

 温度センサーは各CPUに内蔵されたものであるため横並びでの比較には適さないが、SMTに対応したRyzen 5 2400Gの方が高温になる傾向があり、TMPGEnc Video Mastering Works 6でエンコードを実行中のピーク温度は84℃に達している。

 どちらのAPUも同梱の純正クーラーで十分に冷却できているが、Ryzen 5 2400Gを高負荷で運用する機会が多く、静粛性を重視したいのであればサードパーティーのCPUクーラーの利用を検討しても良いだろう。

■現行のゲームを遊べる実力を備えたRaven Ridge

 以上のとおりRyzen 5 2400GとRyzen 3 2200Gの性能をチェックした。ゲームとしてプレイできる3Dゲームがごく軽量なものに限られるIntelのCPU内蔵GPUに対し、Raven Ridgeが備えるGPUは1,280×720ドットで描画設定を調整すればオーバーウォッチやダークソウル3などもプレイできる実力を備えている。

 昨年(2017年)登場したRyzenは費用対効果に優れたCPUとして注目を集めた一方、高い3D性能を必要としないユーザーにとっては、画面出力用にビデオカードを別途用意しなければならないという点がコスト的なネックとなっていたが、Raven Ridgeはこの需要を満たすSocket AM4向け製品となるだろう。

告知

本日(2月13日)20時より“改造バカ”高橋敏也氏“KTU”加藤勝明氏によるRaven Ridge生レビュー配信を行ないます!

「高橋敏也責任無編集 本ナマ!改造バカ」(Impress Watch Video)

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PC Watch,三門 修太

最終更新:2/13(火) 12:22
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