ここから本文です

沙羅、銅メダル!ソチ悔し涙から4年…歓喜の涙/ジャンプ

2/13(火) 7:00配信

サンケイスポーツ

 平昌五輪第4日(12日、アルペンシア・ジャンプセンター)沙羅が涙の銅メダル!! 女子ノーマルヒル(ヒルサイズ=HS109メートル)が行われ、前回ソチ五輪4位の高梨沙羅(21)=クラレ=が2回とも103.5メートルの合計243.8点で銅メダルを獲得した。ソチ五輪の悔しさをばねに成長し、W杯でジャンプの男女を通じて歴代最多に並ぶ通算53勝に到達。今季はW杯未勝利と苦しみ、躍進する欧州勢に後れを取ったが、前向きな気持ちを失わずにメダルを引き寄せた。

 4年前の自分に打ち勝った。2回目。会心のジャンプにガッツポーズが飛び出した。重圧から解放された高梨の目に涙が浮かぶ。2014年2月11日のソチ大会4位から1462日目。金メダルは逃したが、堂々の銅メダル。ソチの悪夢を、吹き付ける雪とともに振り払った。

 「目標の金メダルには届かなかったけど、飛び終わってホッとした。楽しむことができた。自分がまだ金メダルを取る器ではないと分かったし、まだまだ競技者として勉強していかないといけない部分もたくさんある」

 1回目は103・5メートルで3位につけ、2回目にも103・5メートルを飛んだ。氷点下11度。めまぐるしく変わる風にも、高梨の安定した飛行姿勢が威力を発揮した。今季急成長したマーレン・ルンビ(23)=ノルウェー、カタリナ・アルトハウス(21)=ドイツ=に敗れたが、胸を張って表彰台に上がった。

 金メダル最有力候補で挑んだソチ大会。4位で涙を流した。選手村に戻った失意の高梨がインターネットで自分の名前を検索したことを、山田いずみコーチ(39)は覚えている。「期待に応えられず、みんなにどう思われているのか、怖かったんだと思う」と当時17歳の高梨が背負っていた重圧を代弁した。

 ソチ大会直後は、失敗ジャンプの夢で夜中に目覚めることもあった。昨季までW杯で男女を通じて最多の53勝を記録し、周囲から絶対女王と呼ばれても、五輪と2年に1度行われる世界選手権で勝てなかった。

 「勝ちたい試合で結果を残せていない。そこが私の一番弱いところ」という高梨は人間力の向上を磨きあげることが勝負強さにつながると考えた。一昨年の秋から日記をつけ始め、一日を振り返っている。今では3冊目になった。

 「自分の感覚だけの意見でなく客観的に見られるようになった」。最近の夢は4年前の失敗ジャンプを踏み切り位置の横(コーチスボックス)から見ている内容に変化した。

 それでも照準を合わせた平昌大会シーズンで苦難は続いた。ルンビやアルトハウスら同世代が急成長。今季未勝利の高梨は、昨季までの揺るぎない王座から追う立場に変わった。危機感を募らせる時期もあったが、五輪にピークを持ってくることに集中。「世界のレベルはどんどん上がっている。それを乗り越えたときは、どれくらいうれしいのかと想像するとわくわくする」と競争を歓迎する心の余裕があった。

 「ソチ五輪の時の悔しさははね返せた。また新しい目標ができたので、(2022年の)北京五輪で、今度こそ金メダルを取るために、足りないところを成長させたい」

 長く止まっていた時計の針を動かした高梨は、晴れやかな表情で3度目の五輪を見据えた。世界で3位。沙羅が平昌の夜に美しく輝いた。