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静岡の高齢者の免許自主返納は全国最多 独自のかかりつけ医活用が奏功

2/13(火) 7:55配信

産経新聞

 75歳以上のドライバーの認知機能検査を強化した改正道路交通法が昨年3月に施行されてからの半年間に、認知症の恐れがある「第1分類」と判定され、自主的に運転免許証を返納した県内の高齢者は484人で、全国最多だったことが警察庁のまとめで分かった。2位は愛知県の279人。人口は同県の半分程度にもかかわらず、自主返納者数は2倍近くと突出しており、県警は「かかりつけ医」を活用した本県独自の取り組みが奏功していると分析している。 (石原颯)

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 ◆県警が受診斡旋

 現在、75歳以上の高齢ドライバーは免許更新時と一定の交通違反をした場合に、判断力や記憶力をチェックする認知機能検査を受けることが義務づけられている。

 検査では(1)認知症の恐れがある「第1分類」(2)認知機能低下の恐れがある「第2分類」(3)問題なしの「第3分類」-のいずれに当たるかを判定。これまでの制度では、第1分類と判定された人は免許更新後に一定の交通違反をした場合のみ、認知症かどうかの医師の診断を受けることが義務づけられていたが、改正道交法の施行で、第1分類と判定された人は直ちに医師の診断が必要になった。

 さらに従来の道交法では認知機能検査は免許更新時の1回きりだったが、改正法施行により一定の交通違反をするたびに検査を行うことが義務化された。第1分類の人が医師の診察で認知症と診断された場合は、免許の停止または取り消しとなる。

 県警では改正道交法の施行に合わせ、第1分類と判定されたドライバーがスムーズに診察を受けられるよう専門医だけでなく、普段通っている内科医などのかかりつけ医でも受診が可能な体制を整備。第1分類に該当すると、県警がまずかかりつけ医での受診を斡旋(あっせん)し、かかりつけ医がいなければ、登録医療機関を紹介する仕組みを整えた。

 警察庁がモデルとして示した診断書のひな型では認知症の種類の記載など専門医でなければ対応できない項目も含まれていたが、県警は警察庁や県医師会と相談し、改正法施行に合わせて認知症の有無のチェックだけで済むよう様式を変更。認知症を専門としないかかりつけ医でも対応できるように改めた。

 普段からその人の生活環境をよく知るかかりつけ医が免許証の返納を促すことで、認知症と診断される前に免許を自主返納してもらおうという試みで、県医師会の望月隆弘さん(54)は「なみじのある医者の勧めの方が納得して免許を返納しやすいという側面もある」とかかりつけ医斡旋の効果を指摘する。

 改正道交法施行から昨年9月末までの半年間に第1分類と判定された本県の高齢ドライバーは1137人。このうちの42・6%が認知症と診断される前に免許を自主返納しており、自主返納率は全国平均の21・1%を大きく上回っている。

 ◆環境づくり推進

 都道府県別ランキングでは1位の本県以外は2位の愛知県や3位の兵庫県など公共交通機関が発達している地域が上位を占めているが、望月さんは本県で自主返納者数が多い理由について「静岡では2、3世代同居や近所の住人など地縁関係で支え合う環境があり、免許を返納したお年寄りのために車を出してくれる人も少なくないからではないか」と分析する。

 県内の一部自治体では免許を自主返納した高齢者にタクシーやバスなどの利用券を交付するサービスも実施している。民間でも免許を返納した高齢者に優遇料金を設定するなどの動きが出ており、県警では企業などにも協力を呼び掛け、高齢者が免許を自主返納しやすい環境づくりをさらに進めていく方針だ。

最終更新:2/13(火) 7:55
産経新聞