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春節控え植物防疫官大わらわ/農水省弘前出張所、リンゴ輸出入念にチェック

2/13(火) 11:30配信

Web東奥

 1月24日、青森県藤崎町榊の「高木りんご商店」。大寒波の中、台湾へ輸出する予定の県産リンゴを、農林水産省の植物防疫官2人が手に取り入念に調べていた。

 この日、同商店ではサンふじと金星約3千箱(1箱10キロ)がパレットに積まれ出発を待った。箱ごと無作為に抜き出したリンゴを従業員が机に並べると、防疫官が次々と、ツルや反対側の果頂部に害虫や病気がないか確認していく。

 農水省横浜植物防疫所・塩釜支所弘前出張所の菊地勇人所長(56)が英字でサインした合格証明書を手渡し、検査は40分ほどで無事終了。「検査は今週がピーク。これから浪岡に向かいます」と言い残し、足早に施設を後にした。

 国産リンゴ輸出量約2万7千トン(2016年産)のうち県産は9割を占める。最大の輸出先の台湾では毎年、春節(旧正月)になると贈答用として県産リンゴの需要が増える。今年の春節は2月16日。船便で送るため、津軽地方からの発送は、1月中旬から下旬にかけてが繁忙期となる。

 植物防疫所(植防)は17年4月現在、全国に本所、支所、出張所の計59カ所ある。弘前出張所は15年、津軽地方でのリンゴ輸出の増加に対応するため、青森港(青森市)から青森地検弘前支部庁舎内に移転した。植防は一般的に、空港や港のある地域に設置されるが、弘前市のように空港も港もない地域に置かれるのは全国的にも珍しいという。

 同出張所の業務は春節が近づくにつれ、慌ただしくなった。検査先は多い日で30カ所に上り、同出張所の防疫官4人に加え、地区外からも最大4人が応援に駆け付けた。4班に分かれ、レンタカーも利用して各地を駆け回った。

 「ずっとリンゴに追われている感じですね」と苦笑する菊地所長。同出張所の検査件数は17年9月から18年1月第4週までで計2311件。前年同期と比べ23%増えた。

 台湾向けは、輸出の荷口ごとに2%以上のリンゴを検査する。検疫の現場では年に数回ほど、害虫が見つかっているという。

 県りんご果樹課によると、幼虫がリンゴの果肉を食べる害虫「モモシンクイガ」が万一、台湾に入ってから見つかると、1回目は生産した都道府県からの輸出が禁止。同じ年に2回目が見つかると全面禁輸となる。水際での検査は不可欠だ。

 検査を受けた高木りんご商店には、首都圏や関西で青果物を扱う貿易会社から注文が相次いでいる。高木健太郎専務(41)は「虫には注意しないと。検疫でモモシンクイガが出るとアウト。コンテナ(1コンテナ約千箱)丸ごと不合格となってしまう」と気を引き締める。

 輸出の増加を受け、弘前市のつがる弘前農協も検疫への対応に乗り出した。17年、同市悪戸の河東地区りんご施設に総額21億円をかけて導入した選果機には、リンゴが流れるベルトコンベヤーに「エアーダスター」を備える。1時間で、8万6400個のほこりや虫を空気圧で取り除くことが可能で、輸出拡大に大きな力を発揮する。

 同農協は国内供給に軸を置き、現状の輸出向けは全出荷量の1割未満にとどまるが、海外への関心も強い。「検疫を受けたリンゴが相手先でエラーとならないよう、スタッフが経験を重ね、研修で得た知識を現場に反映することが大事」と、同農協りんご部の對馬郁夫部長。中国市場の動向など、国際情勢にも目を配る。

東奥日報社

最終更新:2/13(火) 11:30
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