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大塚商会、自らの経験を“全面押し”する2018年の実践ソリューションフェア

2/14(水) 6:00配信

Impress Watch

 2月7日、大塚商会の独自イベント「実践ソリューションフェア2018」がスタートした。東京を皮切りに、大阪、名古屋、さらに全国各地で開催される。

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 今回のテーマは「ITで始まる。おしごと、まるごとグレードアップ。」だ。ITを活用することで、働き方改革、経費削減など現在、多くの企業が抱える課題を解決していくことができる提案が会場に並ぶ。そしてIT活用による事例として大塚商会自身の改革を紹介。大塚商会自身が前面に出てIT改革を訴える姿が印象的な展示会場となった。

 これまでこの展示会で、「街の電器屋さん」を標榜してきた大塚商会だが、自身が前面に出てIT改革を訴えたのは同社のビジネスが転換期にある反映ではないか。実践ソリューションフェア2018をレポートする。

■IT化による自らの成功体験を紹介

 実践ソリューションフェア2018が開催される数日前、決算会見の壇上で大塚裕司社長は、2018年度の新たな方針として、「最先端のものを活用し販管費を右肩下がりにすることに成功した、大塚商会が取り組んだIT化による生産性向上の成果を、お客さまへアピールしたい」と宣言した。

 多くの企業が人手不足対策などを目的とした社内効率化に取り組む中で、自らがIT化に取り組んだことで実現した効率化、販管費削減といった成果を紹介し、IT化が企業にとって大きな武器となることをアピールしようというのだ。

 毎年、フェアの会場には、寸劇形式で笑いを交えながら展示テーマを紹介するテーマステージが設けられている。メインのテーマステージでは、さまざまなソリューションを紹介するとともに、決算会見で発表した、大塚商会自身の社員1人あたりの売上高と営業利益推移の数値を紹介したスライドが登場した。

 寸劇の中では、「IT化によってこれだけ売上高、営業利益を上げることに成功した企業があるのです」「どこですか、その会社は?」「大塚商会です」というやり取りがあり、さすがにここではテーマステージを見ている観客から笑い声があがった。

■「街の電器屋さん」からメッセージを変更?

 もっとも、このIT化による改革は一朝一夕に実現したものではない。1986年に拠点へパソコンを導入したことを皮切りに、2001年には営業担当者向けに独自開発の営業支援システム「SPR」を導入。また2009年にはエンジニア支援システム「S-SPR」を、2011年にはiPadを導入するなど、長年にわたりITによる社内変革を続けてきた結果として、社員数を大きく増やすことなく、売上増、販管費ダウンが実現できたことになる。

 ITが、魔法のように突然状況を変えたわけではない。

 とはいえ、「売上高、営業利益ともに過去最高」を達成した企業のトップが、「IT化による成果をお客さまにアピールしたい」と話すのは、大きな説得力を持つ。

 また会場を見て気が付いたのだが、ここ数年間、大塚裕司社長が好んでアピールしてきた「街の電器屋さん」という標語を今回は見かけなかった。その代わりのように、決算会見で発表した数値データをもとにしたIT改革のアピールが行われている。

 確かに、「街の電器屋さん」は企業を先導するというより、裏方として企業を支えていく存在だろう。自らの成果をもとにアピールをすることとは、メッセージがそぐわない面がある。

 それも無理はない。

 実践ソリューションフェア2018が開幕した前日、大塚商会にとって重要商材である複合機のメーカー、リコーの事業戦略説明会が行われた。リコー 代表取締役社長執行役員の山下良則氏は、「ハードウェアはすでにあるハードウェアを活用し、そこに付加価値ある提案を載せていくビジネスを行う」と説明。これまでのような新規ハードウェア導入がビジネスでのメインではない、と言い切った。

 確かに2017年度の大塚商会の決算でも、複合機の売れ行きは前年を下回っている。従来型ビジネスが転換期に入っていることは間違いない。

 売上、収益は絶好調ではあるものの、ビジネスの転換期を迎えた大塚商会が、自社の成果をもとにしたIT改革を顧客に薦めていくのは、自然の流れなのだろう。

■率先して変化を導く役割が必要とされている

 実際に会場を見回すと、LED、製造CAD、建築CAD、複合機、たのめーるで販売する商材など、他社にはない大塚商会らしいソリューションとともに、AI/IoTなど新しい商材が並んだ。

 またCADコーナーを見ると、ドローンによる現場撮影など、おなじみの分野でも最新テクノロジーが紹介されている。テクノロジーによってビジネスに変革を起こそうとするのだから、最新テクノロジーが展示会場に並ぶのは当然のことだ。

 あらためて書くまでもないが、大塚商会のビジネスに限らず、ITといってもクラウド登場以降、その中身は大きく変わっている。単体で利用するにとどまらず、ほかのソリューションと連携することで、従来よりもはるかに効果的に企業のビジネスを変えていく、そうしたソリューションが増えている。

 こうした新しいソリューション導入の必要性をアピールするために必要なのは、企業をバックエンドから支える「街の電器屋さん」ではなく、率先して変化を導く役割なのではないか。大塚商会はこの先導役を担う覚悟ができたからこそ、自社の実績をもとにしたITによる変革を訴えているのではなかろうか。

 もちろん、最先端ITを導入した企業にとっても、企業を支える「街の電器屋さん」の存在は不可欠である。もしかすると、大塚商会が再び「街の電器屋さん」だと訴えるタイミングがあるかもしれない。

 それは、企業のIT環境がまた現在とは違うものとなった時なのではないか。

クラウド Watch,三浦 優子

最終更新:2/14(水) 14:37
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