ここから本文です

スノボ平野、命の危機越えて 弟が見たリハビリ中の闘志

2/14(水) 9:51配信

朝日新聞デジタル

 (14日、平昌五輪スノーボード男子ハーフパイプ)

 命の危機を乗り越えて、平野歩夢(木下グループ)が2大会連続銀メダルにたどりついた。「ちょっと悔しさは残っているけど、自分が今できる範囲の中では全力でやれた」

【写真】色紙に「命」と書いた平野歩夢。「いつも、命をかけて滑っているつもりです」

 昨年3月、米国で開催されていたプロ大会の試合中に空中でバランスを崩し、ハーフパイプの縁に落下。左ひざの靱帯(じんたい)と肝臓を損傷し、全治3カ月と診断された。医師からは「(落ちる場所が)あと1センチずれていたら、死んでいたかもしれない」と言われた。

 スノーボード人生で初めての大きなけがに、「やってきたことが全て消えたかのように感じた。自分が折れそうになった」という。

 それでも、弟の海祝(かいしゅう)さん(15)は、復帰に向けた平野の闘志を見ている。「リハビリ中、気づけば実家の自室でビデオを見て滑りのイメージを膨らませ、研究をしていた。全然落ち込んでなんかいなかった」。平野は言う。「動けない時に何をするか。人一倍考えられるこの時間を使って、『けがをしてよかった』と思えるようにならないといけないと思った」

 再びスノーボードを履いたのは5月。最初は緩やかな小学生用の斜面を恐る恐る滑り出した。翌日には大きなジャンプ台でマットへ飛び始める。「すぐに高難度の技の練習を始めるようになって、本当にけがしていたのかなと思った」と海祝さんは振り返る。動けなかった間に膨らませていたイメージをどんどん形にしていった。

 わずか4カ月後、復帰戦となった9月のワールドカップ(W杯)開幕戦で2位に食い込むと、第2戦からは2連勝。勢いを保って平昌入りした。

 ホワイトとの激戦を終え、「楽しかった。いままでイチの大会だったんじゃないかな」。淡々とした口ぶりに、喜びを込めた。(吉永岳央)

朝日新聞社