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大学病院で評判 管理栄養士が自ら実践「麦食」のススメ

2/14(水) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

「病院食レシピ」が相変わらずの人気。「おいしくて体にいい」と評判の病院食の一つが慈恵医大病院だ。特徴は麦の活用。栄養部の管理栄養士である濱裕宣氏と赤石定典氏に聞いた。

 同病院創始者の高木兼寛医師は明治時代、当時流行していたかっけは栄養不足が原因と考え、白米中心の兵食をビタミン豊富な麦飯に変え、当時国民病とまでいわれたかっけを撲滅した。

「歴史的な背景もあり、麦ご飯は私が就職した30年前には年2回出していましたが、徐々に月1~2回、4回と増やし、2015年に『おいしい大麦レシピ』を出版したのを機に、毎日昼に出すようにしたのです」(濱氏)

 病院で出しているのは、麦3割、白米7割。好みだが、これくらいの割合が健康効果を高め、取り組みやすい。患者からの反響は上々。「お通じが良くなった」「体重が減った」「血糖値が改善した」に加え、「こんなに麦ご飯がおいしいとは思ってもいなかった。自宅でもやってみる」との声が相次いでいる。

 麦の魅力を次のように挙げる。

「食物繊維が豊富。食物繊維には水に溶けにくい不溶性と水に溶ける水溶性があります。麦はとくに水溶性が非常に多いのです」(赤石氏)

■カギはβ-グルガン

 精白米の100グラム当たりの食物繊維総量は0.5グラムで水溶性は微量。雑穀の一種「アマランサス」は総量7.4グラム、水溶性1.1グラム。対して、麦(押し麦)は総量9.6グラム、水溶性6グラムと、穀類の中では極めて多い。

「麦の水溶性食物繊維はβ―グルカンという注目の成分。水溶性食物繊維はほかの食品にも含まれていますが、β―グルカンとは微妙に性質が違います。β―グルカンには食後の血糖値を是正することがわかっています」(濱氏)

 研究によって、食後の血糖値、インスリン分泌ともに、白米より麦ご飯の方が低いという結果が出ている。 

「注目すべきなのは、セカンドミール効果です」(赤石氏)

 朝食にβ―グルカンを摂取すると、血糖値、インスリン分泌を抑制する作用が昼食の時まで持続する。病院では昼食だけだが、理想は、朝、昼の1日2食。するとセカンドミール効果が夜まで続く。

 β―グルカンは、余計な脂質成分のコレステロールを吸着して体に吸収されるのを抑制する作用もある。LDLコレステロールの推移を見た研究では、麦ご飯は摂取後から数値が下がり、ほぼ150㎎/デシリットルを下回っていたのに対し、精白米はそれより高い数値のままだった。

 玄米ご飯を実践している人も多いだろう。しかし赤石氏は「玄米は水に半日~1日漬けて発芽させてから炊けばいいが、そうでなければ玄米の毒性の問題がある」と指摘。お腹を壊したり、エネルギーの生成が阻害されるという。また、玄米は炊くのに手間がかかるので、毎日続けにくい。

「その点、麦ご飯は30分~1時間水に漬ければよく、炊くのも麦の2倍の水を入れればいい。別にゆでておけば、サラダやスープなどに入れられる。ほかの食材の味を邪魔せず使い勝手がいい」(赤石氏) 

 麦ご飯はコンビニで、おにぎりとしても売られている。牛丼チェーン店でメニューとして出す時もある。デパ地下などではゆでた麦入りのサラダが販売。牛タン料理の店でも食べられる。

「私は毎朝、コンビニで麦ご飯のおにぎりを買って食べています。プチプチした食感が美味で自然とよく噛むようになった。腹持ちもいいです」(濱氏)