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与正氏通じ米韓の溝を把握 北メディアは訪朝要請には触れず

2/14(水) 7:55配信

産経新聞

 北朝鮮メディアは、金正恩朝鮮労働党委員長に高官代表団のトップではない妹の金与正氏が文在寅大統領ら韓国側との接触状況を報告したと伝えた。正恩氏は、最も信頼し、自分の“目と耳”の役を買って出た妹を通じて文氏が南北対話に懸ける熱意や米韓の温度差を把握したことになる。

 代表団は金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長が団長を務めた。だが、朝鮮中央通信は「特命」を受けた与正氏が「南側の意中」などを詳しく報告したと報じた。

 平昌五輪開会式には、安倍晋三首相ら多数の外国首脳が出席する中、文氏ら韓国政府高官は2泊3日の滞在中、4回も会食でもてなすなど、北朝鮮代表団だけを「特別扱い」したことは当然、伝わったはずだ。

 「米国の動向」も報告したとわざわざ言及しており、レセプションなどで永南氏との接触を徹底して避けたペンス米副大統領の行動も逐一報告されたとみられる。正恩氏は妹を介して米韓の不協和音を実感したといえる。

 文氏は与正氏らとの会談で「南北関係の発展には米朝対話が必ず必要だ」と述べており、文氏が米国に頭が上がらない現実も見せつけられた。韓国側は北朝鮮の核問題を持ち出さなかったとされるが、同時に米国の非核化要求が韓国を取り込む上で最大の障壁だと改めて理解しただろう。

 一方、同通信は、文氏に対する訪朝要請には触れていない。国内向けには、正恩氏が制裁圧力から逃れるため、韓国大統領を招請したわけでなく、過去2回の南北首脳会談同様、韓国側が膝を屈して訪朝した形を作るためとみられる。米国の反対などで失敗した場合、自分の権威を傷つけることなく、米韓に責任を転嫁することも可能だ。

 トランプ大統領は文氏との1月の電話会談で「南北対話が進んでいる間は、いかなる軍事的行動もない」と明言している。少なくとも文氏を対話に引き付けているうちは、米国からの攻撃を免れ、核・ミサイル開発の時間稼ぎをする“盾”に利用できると、正恩氏が踏んでいても不自然ではない。(江陵 桜井紀雄)

最終更新:2/14(水) 7:55
産経新聞