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ソフト開発に積極投資するネクスティの狙い

2/14(水) 17:48配信

EE Times Japan

 豊通エレクトロニクスとトーメンエレクトロニクスが合併し2017年4月1日に誕生した半導体/エレクトロニクス商社であるネクスティ エレクトロニクス(以下、ネクスティ)が、組み込みソフトウェア領域への積極投資を行っている。2017年10月には車載ソフトウェア開発会社4社との資本業務提携を締結。さらに、2017年12月には東芝マイクロエレクトロニクスと、2018年2月にはフィックスターズと、それぞれ組み込みソフトウェア開発を目的にした共同出資会社を設立している。

 組み込みソフトウェア分野への積極投資の狙いは何か。まもなく発足1年を迎えるネクスティの社長を務める青木厚氏に、事業概況などとともに聞いた。

■これまで温めてきたことが結実した

EE Times Japan(以下、EETJ) 発足1年目である2017年度(2018年3月期)の事業はいかがですか。

青木厚氏 全般的に(当初の予想より)上振れしている。数年前の暗い時期から比べると、随分と明るくなった印象だ。2017年度の売上高目標4900億円については、上回れる見通し。2018年度も、まだ業績計画を策定中だが、当然、2017年度から上積みを図らなければならないと考えている。

EETJ 発足1年目から、組み込みソフト開発企業への出資や、組み込みソフト開発を主体とする共同出資会社の設立が相次ぎました。一連の投資の狙いをお聞かせください。

青木氏 ネクスティは、豊田通商グループの中で分散していたリソースを持ち寄り、“技術”“品質”“機能”という3つの要素それぞれを高め、グローバルの半導体/エレクトロニクス商社になろう、という意図で発足した。ここ半年間で実施してきた投資は、“技術”の部分の強化策であり、組み込みソフトウェアの開発力強化を狙っている。

 旧豊通エレクトロニクスの人員を中心にネクスティは、600人ほどのソフトウェアエンジニアを有し、これまでも組み込みソフトウェア開発領域の強化を進めてきた。しかし、昨今では、自前の強化では、簡単には手が届かない領域、例えば自動運転向けソフトウェア開発領域などが出てきた。自動運転では、高度な画像認識技術、メニーコアを使用した処理技術、さらにソフトウェア開発手法もより大規模な開発プロジェクトに対応することが必要になっている。

 そこで、これまでも付き合いのあった開発パートナーの中で、自動運転車など次世代自動者向けソフトウェア開発で、Win-Winの関係を構築できるであろうパートナーと資本業務提携や共同出資会社設立を通じた体制作りを模索してきた。結果的に半年間のうちに投資の発表が相次いだわけだが、これまで温めてきたことが同じような時期に結実した格好だ。

EETJ 一連の投資は、ネクスティの主力ビジネス領域である自動車市場でのソフトウェア開発力強化を意図したものなのですか。

青木氏 まずは、自動車市場を主体にして、パートナーと体制作りを行うが、将来的には自動車市場以外への横展開もにらんでいる。用途市場を問わず、顧客の困りごとをまとめて解決できることを目指している。

■気持ちを社内外に示した

EETJ それぞれの投資の狙いをお聞かせください。

青木氏 まず、2017年10月に発表した4社*)との資本業務提携については、“気持ち”の部分が大きい投資だ。4社はそれぞれ、とがった技術を持つベンチャー企業であり、ネクスティはそうした優れた技術を広めるという面でサポートするために数パーセント程度の出資を行った。出資を行うことで、4社とネクスティは、単なるパートナーではなく、パートナー以上の関係であるという“気持ち”を社内外に示す狙いで出資、業務提携に至った。

*)移動体や家電向け基本ソフトや人工知能技術などの開発を手掛ける「アックス」、モデルベース開発関連技術を持つ「インテグレーションテクノロジー」、各種システム開発・コンサルティング業務などを手掛ける「ソルクシーズ」、組み込みソフト/ハード開発を行う「未来技術研究所」の4社。

EETJ 東芝デバイス&ストレージの完全子会社である東芝マイクロエレクトロニクスとは共同出資会社「ネクスティ システムデザイン」(出資比率=ネクスティ51%、東芝マイクロエレ49%)を設立しました。

青木氏 東芝マイクロエレは、東芝グループ内向けのビジネスとともに、東芝グループ以外でのビジネス拡大を目指しチームがあり、そこと連携することで共にビジネスを広げていこうという意図がある。東芝マイクロエレには、画像系技術をはじめ、バッテリーマネジメント技術やメモリ関連技術など幅広い応用分野で高い技術力がある。そうした東芝マイクロエレの技術力と、ネクスティのプロジェクトマネジメント力、ビジネス創出ノウハウを組み合わせて、事業規模の拡大を狙う。

EETJ ネクスティ システムデザインと、ネクスティ本体のソフト開発部門はどのようにすみ分けされていくのですか。

青木氏 基本的に、自動車向けのプロジェクトはネクスティ システムデザインを中心に実施していく。

EETJ 並列処理技術などをコアに持つフィックスターズとは、「Fixstars Autonomous Technologies」(出資比率=フィックスターズ66.6%、ネクスティ33.4%)を設立されました。

青木氏 社名に“Autonomous”(自律的な)を含んだ通り、少し将来を見据えて自動運転などの次世代自動車に向けた開発ビジネスを創出していきたい。フィックスターズは、メニーコア技術や人工知能(AI)を組み込む技術を持っている。そこにわれわれのプロセッサなどの商材を組み合わせていく。(プロセッサメーカーなどの)サプライヤーに対しても、フィックスターズとの連携はアピールになると考えている。

■ODMサービスの提供も視野に

EETJ 一連の投資で、ネクスティの事業はどのように変わっていくのでしょうか。

青木氏 今回の投資で、よりまとまった“固まり”、“ソリューション”を顧客と提供できるようになった。顧客が欲しいと思うIPや技術が豊田通商・ネクスティグループ内で、ほぼ賄えるようになった。実際、ソフトウェアに関する知見が蓄積され、顧客への提案内容がより濃いものになり、顧客側から相談を持ち掛けられることも増え、自信を深めている。

EETJ ソフトウェア開発力と、半導体販売などのハードウェアビジネスとの相乗効果も期待できますね。

青木氏 ソフトウェアとハードウェアでは、それぞれニーズが異なる。ソフトウェアが受注できてもハードウェアが売れるわけではなく、ハードが売れてもソフト開発を受託できるとも限らない。そういった面でも、ソフトウェア事業としてしっかり収益をあげていくことを目指す。

 ただ、自動車市場以外の顧客や、海外の車載機器メーカーの中には、より完成品に近いものを提供して欲しいというニーズが広がりつつある。半導体などのハードウェア商材とソフトウェア開発力、さらには機構設計やモノづくりに関する技術力を高め、ODM(設計製造受託)サービスを提供していきたいと考えている。当然、ODMを提供するには品質保証も重要になる。現在、100人体制の品質担当人員数を、2018年度に160人規模に増やす。特に海外での品質サポート体制を強化する予定だ。

■2020年度にはソフトエンジニア2500人体制へ

EETJ 現状のソフトウェア事業の規模は、どのぐらいになりましたか。将来的な目標は?

青木氏 現状のソフトウェア事業の売り上げ規模は、数百億円といったところ。ソフトウェアは、ハードウェア事業に比べ売り上げ規模はどうしても小さく見えるが、収益率は高く、利益面での貢献に期待している。

 ソフトウェアエンジニア数については、合併時の600人ほどから、共同出資会社や出資先のリソースを含めれば1500人体制に拡大した。とはいえ、まだまだ不足感は残っている上、今後もソフトウェア開発ニーズが高まる見込み。ネクスティ本体や共同出資会社で人材を育成増員していく他、さらなるパートナーとの連携も行って、2020年度には2500人規模にまで引き上げたい。

EETJ 自動運転やIoT(モノのインターネット)では、組み込みソフトウェアだけでなく、サーバ、クラウド技術などIT分野の技術も必要になります。

青木氏 サーバなどIT向けについては、豊田通商の別部門が担当している。最近では、デンソーとともにD-Wave Systems社の量子コンピュータを用いたコネクテッドサービスに関する実証実験を開始したり、準天頂衛星「みちびき」活用した高精度ルートガイダンスシステムの実証事業を行ったりしている。豊田通商と連携し、より総合的なソリューションを提供していく予定だ。

 ネクスティとしては、エレクトロニクス商社としての本業の部分を、愚直に、骨太に取り組んでいく。

最終更新:2/14(水) 17:48
EE Times Japan