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正念場を迎えるSigfox、シェア拡大を模索

2/14(水) 17:51配信

EE Times Japan

 Sigfoxの共同創設者でありCEO(最高経営責任者)を務めるLudovic Le Moan氏は現在、2018年中にIoT(モノのインターネット)分野におけるROI(投資対効果)を達成しなければならないという、切羽詰まった状況に置かれている。同氏はこれまでに、5回の投資ラウンドで1億5000万米ドルの資金を調達しているが、最終期限となる2018年末までにブレークイーブン(損益分岐点)を実現する必要性に迫られているのだ。

 Le Moan氏によると、同社の目標を達成するためには、世界各国のさまざまな種類の「SIGFOX」ネットワーク上に、採算の取れるノードを約1000万個確保する必要があるという。今のところ、400万個程度しか確保できていないようだ。

 同氏は、2000年のSigfox設立以来、実際に目標を達成できるかどうかに関係なく、コストを最小限に抑えたIoT向けネットワークを構築するという構想の実現に向かって進んできた。

 SIGFOXのハードウェアの接続コストは、数年前には約12米ドルだったが、現在では約1.20~2米ドルまで下がっている。同社の売上高は、その大半を接続料金が占める。現在は、ノード数が少なくとも1万のユーザーを対象として、デバイス1台当たり年間約5~6米ドルで固定しているという。

 Sigfoxは2017年に、基本通知機能を提供することが可能なトランシーバー向けの接続料金を、20米セント未満まで下げることが可能だとする設計を発表した。また、同社は既に、ノード数が100万以上の通信事業者向けとして、デバイス1台当たりの年間接続料金を1米ドルまで下げている。

 Le Moan氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「当社は、少量のメッセージを最も効率的な方法で伝送できるようにするというアイデアからスタートした企業だ。いつの日か、ハードウェアや伝送コストをゼロに近い状態まで下げ、1つのネットワークで世界中を網羅することを目標としている」と述べている。

■LoRaとNB-IoTに差をつけられているSIGFOX

 市場調査会社であるIHS Markitによると、SIGFOXは現在、LoRaとNB(Narrow Band)-IoTに大きく差をつけられ、第3位の座にあるという。2017年におけるSIGFOXのモジュール出荷数は、9000個を下回った。IHS Markitの予測によれば、Sigfoxの年間接続料金の売上高は、2021年に現在の10倍に増加するとみられているが、それでもLoRaとNB-IoTとの差は大きいまま、3位にとどまる見込みだという。

 あるアナリストは、「Sigfoxは、ベンチャーからの支援を受ける1社の企業だけに依存している上、独自技術を自社専用のものとしている。一方、NB-IoTとLoRaは、公開規格をベースとして、複数の株式公開企業の製品を使用する」と指摘する。

■資産管理とセキュリティに注力

 Sigfoxはこれまで、最後の4回の資金調達ラウンドにおいて目標額を達成したことにより、試作版ネットワークを開発して、フランス国内で構築し、欧州全体から世界各国に向けて拡大させてきた。同社にとって、最も困難とされる次なる目標は、2018年第4四半期にブレークイーブンを実現することだ。

 Le Moan氏は今後、黒字化を達成していく上で、IoT分野の中で最も注目度が高く、競争も激化している、「資産管理」と「セキュリティ」の2つの分野を頼みの綱とするようだ。

 同氏は、「当社は、さまざまなバーティカルマーケットにおいて500件ものプロジェクトを抱えているが、売上高全体の大半を占めているのは、セキュリティと資産管理だ。コンテナやパレット、自動車、荷物などを追跡するために、バッテリーやトランシーバーなど5~6米ドルを超えるシステムにコストをかけるのは難しい」と述べる。

 LoRa規格の共同開発者の1人であるHardy Schmidbauer氏も、Le Moan氏の見解に同意する。Schmidbauer氏が設立した新興企業Semtechは、2018年1月に、タグなどを追跡するコンシューマー向け製品を発表したばかりだ。

 Semtechは現在、小型化と低消費電力化を実現したLoRa対応トランシーバーの出荷を開始しているが、コストは据え置いたままである。

 Le Moan氏は、「最終的に、市場規模がかなり大きくなっても、データにどのような価値があるのかが問題だ。例えば、モジュールのコストが1米ドルで、データの価値が1米ドルを下回るような場合は、市場価値が全くないことになる。重要なのは、消費者がデータから何を必要としているのか、データからどのような価値を消費者に提供できるのか、データの価値を最小限のコストでどのように引き出すのか、ということだ」と強調した。

 同氏は、「IoT分野における最大の難点は、まだ収集されていないデータの価値を見いだすことにある」と続けた。

■中南米にも拡大

 Sigfoxは、2018年中の目標達成に向けて、2つの重大な契約を締結することに成功した。

 1つ目は、2018年1月9日に、フランスの新興企業であるSeniordomが開発した高齢者介護向けソリューションの一環として、中国国内の20都市において、Sigfoxのネットワークを導入するという契約を締結した。Seniordomは過去1年間で、1500人規模の試験を実施してきたという。中国の成都政府は、2018年後半に始動する成都の開発事業に向けて、3億ユーロの資金を提供する予定だ。

 2つ目は、中南米4カ国で新しいパートナー企業を確保したことだ。同社が2018年1月25日に発表したところによれば、これらのパートナー企業は、SIGFOX専属の通信事業者として活動する。

 Sigfoxは現在、中南米地域に、9社の通信事業者およびパートナー企業を確保している。Le Moan氏によると、その中のメキシコの企業は、2017年にメキシコ中部地震が発生した直後にネットワークを稼働させることができた、唯一の企業だったという。

 Le Moan氏は、2018年末までに、STMicroelectronicsなどのセンサーメーカーと提携することにより、Sigfox対応の超低コストトランシーバーを半導体チップに搭載できるようにしたい考えのようだ。Sigfoxは、全ての使用者にロイヤリティーフリーで設計を提供しているという。

最終更新:2/14(水) 17:51
EE Times Japan