ここから本文です

<五輪スノーボード>ホワイト、王者の力 4回転対決制す

2/14(水) 22:33配信

毎日新聞

 世界の頂点を決めるにふさわしい名勝負は、やはり2種類の4回転の連続技が勝利への鍵だった。勝利の雄たけびを上げたのは、スノーボード界のスーパースター、ショーン・ホワイト。その姿を見届けた平野に笑顔はなかったが、歩み寄った2人は抱き合って健闘をたたえ合った。

 縦2回転、横4回転の「フロントサイドダブルコーク1440」と、逆足で踏み切る「キャブダブルコーク1440」の連続技は、平野が1月28日のプロ最高峰の賞金大会「冬季Xゲーム」で成功させたのが、史上初めてとされる組み合わせ。平野にすれば、ソチ五輪で銀メダルを手にした時から「そういう次元の戦いになるだろうと思って練習してきた」というとっておきの構成だ。

 平野は、これを2回目の滑走で完璧に決めて95.25点をたたき出し、1回目94.25点で首位にいたホワイトを抜き去った。でも、安心はできなかった。「(ホワイトが)2、3回目で4回転の連続技を必ずやってくるだろう」と思ったからだ。だからこそ、自身の3回目は、2回目の構成に一つ技を加えて勝負しようと試みたが、四つ目の技の着地に失敗してしまった。

 一方、「4回転の連続技は今朝まで考えていなかった」というホワイトは、最後の滑走を前にいら立っていた。1回目の滑走で単発ながら「多分人生で最も大きな4回転を決めたから、抜かれるとは思っていなかった。だから、重圧を感じていた」という。それでも、平野に4回転の連続技を決められた以上は、自身も練習ですらあまりやったことがなく、試合で成功させたことがなくても、挑戦せざるを得なかった。

 そこで自分に言い聞かせた。「今の瞬間を味わい、大事にしよう。これが五輪なんだ」。意を決してスタートすると、すべて吹っ切れた。冒頭に平野と同じ連続技をきっちり決めると、そこからは代名詞の「ダブルマックツイスト」などを華麗に決めてフィニッシュ。祈るように見つめた得点が97.75と表示されると、力が抜けて膝から崩れ落ちた。

 ホワイトは「正直、人生で一番チャレンジングな滑りだった」と振り返る。その滑りを「高さ、着地の精度を含めて彼の過去一番の滑り。当然(自分の得点を)超される」と見ていた平野は言った。「素直に負けは認めている。でも、笑うところにはたどり着けない。悔しい部分はあるので」。全力を尽くし合った先に喜びと悔しさが交錯し、それがまた次の勝負を面白くする。これぞスポーツだ。【平本泰章】

最終更新:2/14(水) 22:46
毎日新聞