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病院での突然死ゼロへ。AIで異変を察知するシステムが米国で承認される

2/14(水) 7:11配信

ギズモード・ジャパン

年間40万人の死、早めにわかれば防げるかも。

病院に入院している方が、一見元気そうだったのに容態が急変して亡くなるケースは少なくありません。2013年のJournal of Patient Safetyに掲載された論文では、そのような突然死で亡くなる方は世界で年間40万人に上ると推定されています。医療機器メーカー・Excel Medicalのチーフ・ストラテジー・オフィサー、Mary Baum氏に言わせれば、その数は「毎日飛行機2機が墜落しているようなもの」とのこと。

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そこでExcel Medicalは、突然死をアルゴリズムで予測して防ぐための医療機関向けシステム「WAVE Clinical Platform」(以下WAVE)を開発し、このたび米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ました。WAVEは患者の血圧や脈拍などのデータを監視して、致命的な心臓発作や呼吸器系異常が起こる最大6時間前にその予兆を検知し、スマートフォンなどにアラートを送ることができます。この種のアルゴリズムやシステムがFDAに承認されるのは、これが初めてだそうです。

Excel Medicalのアルゴリズムはオックスフォード大学のスピンオフ企業が開発した「Visensia Safety Index」という指標を使い、入院患者の容態が急変しそうかどうかをトラッキングしていきます。常時監視する患者のデータに基いて危険度を1~5で評価し、3以上は危険領域ということで病院スタッフのスマートフォンやタブレット、パソコンにアラートを送ります。異変が起きてからアラートするのではなく、起きそうな確率を事前に算出しているわけです。

Baum氏は米Gizmodoに対し、WAVEのメリットは患者の変化に対応する時間が得られることだと語りました。「一般的に病院の緊急対応チームは、(異変に気づいてから患者さんが亡くなるまで)15分しか使えません」とBaum氏。「病室に着くまでに10分かかるので、実際に救命に使える時間は5分程度。でもその時間が6時間あったら、どれだけのことができるでしょうか?」

WAVEは、患者の心拍や呼吸、血圧、体温といった複数のデータを並行して監視、分析していきます。Baum氏いわく、複数をデータを組み合わせた方が、データを単体で見るより数時間早く異変の兆候をつかめるんだそう。たとえば、従来のソフトウェアだと呼吸回数のみのデータは見過ごしていたかもしれませんが、WAVEではそれを血圧の数値と組み合わせることで異常の検知につなげられる、というイメージです。

「単なる生データではありません」とBaum氏。「アルゴリズムでデータの推移や相関を見ているんです」

WAVEの臨床実験は、ピッツバーグ大学医療センターで2つの高齢患者グループを対象に行なわれました。一方のグループにだけWAVEを使ってモニターしたところ、WAVEを使わなかったグループでは突然死が6件あったのに対し、WAVEを使ったグループでは突然死ゼロという結果でした。

このようなAIを使った予測技術は、医療の中でも急速に進化しているフィールドです。Aspire Healthという別の会社では、高齢の患者さんが病院から自宅ケアへと移行すべきタイミングを予測するアルゴリズムが開発されています。同社のシステムを使うことで、それほど効果のない高額な延命治療をやめる判断がしやすくなり、医療費負担が軽減できます。

Excel MedicalはHCA Newsに対し、「最終的にはWAVEをウェアラブルデバイスに統合したい」と語っています。こういう予測が病院の機器だけでなくスマートウォッチなどで手軽にできるようになれば、本格的な症状が出る前に病気に気づけるようになって、みんながもっと健康になれるかもしれません。



Image: Shutterstock
Source: Healthcare Analytics News, Wall Street Journal

Sidney Fussell - Gizmodo US[原文]
(福田ミホ)