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子どもの未来を広げる 義手を使って料理にチャレンジ

2/14(水) 11:31配信

ホウドウキョク

「いただきます!」

生まれつき手がなかったり、手を事故で失った子どもたちに、料理の楽しさを知ってもらう料理教室が、先月銀座で開かれた。

子どもたちの料理教室

子どもたちは義手を器用に使いながら、ピザ生地をこね、ソーセージやコーンをトッピングしてグリルで焼く。

彩り鮮やかな手作りピザが出来上がった。

日本では「義手がなくても生活出来る」という意識が強い

参加したのは4歳から小学校高学年までの、手に欠損のある子どもたちとその保護者。

そして子どもたちをサポートするのが、料理の先生と、作業療法士、義肢装具士らだ。

この料理教室を主催しているのは、一般社団法人のハビリスジャパン。

障がいのある子どもたちの社会参加を支援する団体で、今回の料理教室のほかにも体操教室なども行っている。

日本では、「片手があれば、義手がなくても生活出来る」という意識が強く、実用的な義手の普及が遅れている。筋電義手、アクティビティや運動をサポートするための義手などがそれである。

たとえば、「筋電義手」と呼ばれる義手がある。

筋肉が発する電気信号によって、手首や指を本当の手の様に動かすことができるのだが、日本では150万円以上と高価で、家計への負担が大きい。

国は筋電義手の購入に公的補助をする制度もあるが、申請するためには「筋電義手が日常不可欠な証明」が必要だ。

そもそも筋電義手を練習するチャンスも無い中で、この条件では門前払いと言ってもいい。

つまり日本では、腕を欠損した子どもたちが、義手を使ってスポーツをし、工作や料理をするチャンスがないのだ。

一方、欧米やカナダでは、子どもたちに経済的な支援を行うなど、義手を使って活動する環境が整っている。

ハビリスジャパンの立ち上げメンバーの1人である、東京大学医学部附属病院の藤原清香さん。

留学したカナダで義手の練習施設を見てきた藤原さんに、子どもたちの義手を取り巻く現状について話を聞いた。

子どもたちの義手を取り巻く現状とは…

ーーまずはハビリスジャパンを立ち上げたきっかけを教えてください。

2012年9月にカナダのトロントに留学し、「筋電義手の聖地」とも呼ばれている病院を見に行きました。

そこで、子どもたちが様々な義手を使ってリハビリを行う姿に感動し、帰国後ハビリスジャパンの立ち上げに参加しました。

ーー日本では子どもたちが義手を使う機会が少ないのですか?

日本は義手の選択肢が少なく、筋電義手は兵庫県にある「小児筋電義手バンク」、アクティビティや運動用の義手は「ハビリスジャパン」が、貸与することにより普及活動に取り組んでいます。

義手は子どもの活動を広げてくれます。

たとえば小学校には体育の授業がありますが、手を欠損している子どもは授業に参加しにくいことがあります。

しかし鉄棒やマット運動は、運動用の義手があれば取り組みやすくなります。

ーー欧米では運動用義手を体験・練習する施設が整っているのですね?

欧米では子どもたちに運動用や音楽用の義手を体験させる環境があります。

日本では、レクリエーションやアクティビティは「日常生活ではない」として、国のサポートを受けられません。

子どもたちにこうした義手を体験させ、参加させることは、今の日本の制度では難しいのです。

だから、こうした義手の存在自体知られていないし、義手の使い方を指導する人もいません。

子どもたちのチャレンジの場を、私たちが実現しないといけません。

ーーその取り組みの1つが料理教室や運動教室なのですね?

そうです。料理の先生や運動の先生は、一般の人です。

専門職の方にも入ってもらっていますが、彼らも義手の使い方指導まではできません。一般の多くの人に知ってもらうことで、経験者を増やし、普及につながる。

体験の場は、情報のハブでもあります。

パラリンピックでは、板バネの義足が注目されました。

しかし義手は競技性がほとんど無く、認知や理解が義足ほど進んでいません。ですから、こうした活動の場をどんどん広げていきたいと思います。

ーー今後、義手の普及を行う際の課題は何でしょう?

適応能力の高い子どもは、手が無いのが当たり前だと思ってしまいます。そうなると義手が邪魔になり、要らなくなってしまうのです。

ですから、子どものうちに義手を使うメリットを体験できる場が必要です。

子どものころから義手を使っていれば、もっといろんなことができる可能性が広がります。色々な義手を認知できる環境を整えていきたいと思います。

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最終更新:2/14(水) 11:46
ホウドウキョク