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信用ゼロからのスタート 「完全成功報酬型」のニーズ信じ進む【革新に挑む・7】

2/14(水) 7:40配信

沖縄タイムス

 ◆第1部 起業家たち 「びねつ」の高嶺克也代表

 2015年2月設立の那覇市のベンチャー「びねつ」。求人情報サイト「ジョブカロリ」を運営し、イオン琉球や沖縄ファミリーマートなどの大手とも取引を持つ。求人情報の掲載はゼロ円で受け付け、採用が成功して初めて手数料を取る「完全成功報酬型」で支持を得ている。

 だが、事業が軌道に乗り始めたのはここ1年くらいだと代表の高嶺克也さん(40)=糸満市出身=は話す。現在4人いる社員も、設立当初は高嶺さん一人きり。会社を信用してもらうのが難しく「社員10人」とごまかしたこともある。

 「真夜中の海で溺れている感じ」。華やかにみえるベンチャー業界だが、「信用ゼロ」からのスタートは苦しかったと振り返る。高嶺さんの場合、東京の広告代理店で15年間たたき込まれた営業マン精神と、東京発の成功報酬型サイトは沖縄でもニーズがあるはずだとの確信が支えだったという。

 高嶺さんは19歳の春、「墓のある沖縄にいつか帰ってくること」を条件に都内の大学へ進学。就職氷河期で突然の内定取り消しを経験し、広告代理店を紹介された。

 そこで待っていたのは過酷なノルマ。飛び込み営業で1日100枚の名刺を集めるだけでなく、裏面には似顔絵や会話の糸口をメモしておかなければならなかった。「名刺が欲しいなら売るよ。いくらなら買う?」とあしらわれた日も、駅ですれ違った人に泣きついた日もあった。高嶺さんは「いやが応でも、あきらめの悪い人間になりました」と苦笑する。

 当時は、NTTドコモのiモード携帯電話が普及するなどインターネットが一気に広がった時代。求人情報誌に代わり求人サイトが登場した。そんな中、早稲田大学主催のビジネスプランコンテストで当時同大1年の村上太一さんが「成功報酬型」のアイデアを発表。応募が来ても来なくても膨大な費用がかかる求人業界の常識を一気に覆した。

 村上さんは翌2006年に「リブセンス」を起業し、アイデアをビジネス化。11年には史上最年少の25歳で東証マザーズに上場した。学生だった村上さんに広告代理店の立場から契約書の作り方や営業の仕方を教えた高嶺さんは、沖縄へ帰ってまもなく「『リブセンスモデル』は沖縄でもいける」と起業を決めた。

 今、高嶺さんが立ち上げた求人サイトには個人経営の精肉店から上場企業まで県内700社2700件の情報が並ぶ。「沖縄の求人市場に革命と熱量を」との願いを込めたベンチャー企業「びねつ」は、東京仕込みのガッツと縁あった大学生のひらめきに根差している。(政経部・平島夏実)

最終更新:2/14(水) 7:40
沖縄タイムス