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東大医学部生が教える「東大推薦入試」と「理IIIの一般入試」

2/15(木) 12:08配信

リセマム

 現役の東大医学部生が東大の推薦入試、理IIIの入試の流れなどについて、解説。東大の理科III類に挑む理由を解き明かす。

東大推薦入試の仕組み

 東大入試は一般入試、推薦入試、海外の高校生用の特別入試がありますが、ほとんどの受験生は一般入試で合格します。2016年から推薦入試が始まり100人程度募集していますが、実際の合格者はいまのところ70人強のようです。

 推薦入試の日程は、

11月初旬 出願(出願すると他の国立大学のAO推薦に出願できません)
12月1日 第一次選考結果発表
12月中旬 面接
1月中旬 センター試験(合格基準8割の720点程度、ただし医学部は780点以上)
2月8日 合格発表
2月中旬 手続き(一般入試は受けられません)

 出願条件は各高校男女一人ずつ(男子校女子校は一人)。

 提出する証明書や資料は、たとえば医学部なら、

1.科学コンテストで顕著な成績による推薦の場合
 参加したコンテスト名(○○オリンピック、○○チャレンジ、○○グランプリ等)、参加年度、国内大会の成績、国際大会の準備チームに選出されたか、国際大会で選手として出場したか、国際大会での選手としての成績。

2.TOEFL iBT 100以上、あるいはIELTS7点以上、豊富な国際経験

となっています。

 一つの分野に思い切り打ち込んでいる高校生が、途中で受験勉強をするために中断することなく、その分野の勉強を続けられるのは、本人のためにも日本の将来のためにも、とてもよいことだと思います。

 東大総長賞に選ばれるような人や、世界で活躍する人が入試で落ちてしまったり、受験勉強のために研究をしなくなったりするのは、望ましくないと思うからです。

 しかし、東大に合格することが目的で、そのために各種コンテストに出て推薦の条件を獲得しようとするのは本末転倒です。

 推薦による東大合格者を出したい学校や、子どもを東大に受からせたい親が、行き過ぎた指導をしたり、本人の意志はそっちのけで熱を上げたりするようになってはいけないと思います。

 豊富な国際経験という条件は、受験生本人だけの意欲ではどうしようもないことのように思います。幼少期の経験なら、なおさら生まれた環境で決まってしまいます。家庭環境とともに本人が意欲的かつ親の協力と準備が必要です。

大学入学にかかる費用と日程について

検定料 センター試験 4,000円/二次試験 1万3,000円
授業料年額 53万5,800円(5月、11月に半額ずつ納入)(大学院後期は52万800円)(法科大学院は80万4,000円)
入学金 28万2,000円

 学部生の学費は全科類同額です。世間には医学部は学費が高い、と思っている人がいますが、それは私立医学部の話です。国立医学部は6年で349万6,800円ですが、私立は一番学費が抑えられたところでも1,850万円です(文部科学省「平成28年度学生納付金調査」より)。

東大理科III類の一般入試について

   志願者/合格者/倍率
現役   186/76/2.4倍
一浪    67/17/3.9倍
それ以上 274/5/54.8倍
全体   527/98/5.4倍

東大一般受験の日程

9月末から10月初旬 センター出願
1月中旬から下旬 センター試験(2日間)
1月23日から2月1日 東大出願
2月25日、26日 東大二次試験
2月8日 第一段階合格発表(いわるる足切り発表)
3月10日 合格発表

 一般入試は1月のセンター試験で理類受験者は国語200(現代文100、古文50、漢文50)外国語(英語・フランス語・ドイツ語・中国語・韓国語200、ただし、センターリスニングの50は含みません)、数学200(数IA100、数IIB100)、理科(物理100・化学100・生物100・地学100から二つ)、社会(倫理政治経済100・日本史B100・世界史B100・地理B100から一つ)を受験し、900満点での合計点を110点に換算します。

 二次試験は国語80(現代文40・古文20・漢文20)、数学120、理科60を2科目、外国語120の合計440です。この点にセンターの110換算後の点を足し合計で合否が決まります。自分の点が定員の人数より上位なら合格です。

 時間割は、
1日目 国語 9:30から11:10(100分)/数学 14:00から16:30(150分)
2日目 理科 9:30から12:00(150分)/外国語 14:00から16:00(120分)

 理III合格者は現役の合格率がもっとも高いことからわかるように、浪人して長く勉強すれば受かりやすいわけではないことがわかります。

 別の言い方をすれば、受かる人の8割以上は一回で受かっています。高校を卒業してから本気を出して受かろう、という種類の入試ではなく、18年の地道な思考力の積み重ねが試される勝負だといえます。

 全体の人数は、志願者のうちセンター試験の足切りに通った人数です。得点を開示した人によると330点(センター試験と二次試験で550点満点のうち)の人もおり、合格に程遠い、いわゆる記念受験の人もいることがわかります。2日間ある二次試験なのに、毎年2日目は来ない人がいるのはそういうことでしょう。

 受験者の現役以外のなかには現役東大生も含まれています。前の年以前に東大の他の科類に入学したけど、今度は理科III類を受ける人です。もちろん東大は事務処理をしてくれます。また、東大以外の大学生も受けに来ているようで、入学もしています。

 現役の不合格者の多くは、その年に私立大学や後期入試により国立大学に進学しているようで、次の年再び受けに来る人は半数もいないようです。医学部は卒業と免許取得に最短でも6年かかり、その後も研修医として経験を積むことが必要です。翌年受けないのは一人前になるまでとても時間がかかる職業ですから、受験のために遅れることは望ましくない、と考えられているからだと思います。

 理科III類合格者は推薦合格者2人(定員は3人まで)を含めた100人ですが、このうちの約97人のほかに、進振り制度で理科II類から10人、文科I類、II類、III類、理科I類から合計3人、医学部医学科に進学するので2年秋から110人の医学部医学科生が誕生します。

 この進振り制度により理科III類以外から医学科に進むためには、たとえば理科II類なら希望者のうち上位10人に入る必要がありますが、毎年希望者がたくさんいて難関のようです。惜しくも10人には入れなかった人が、あえて留年して次の年に挑むこともあるそうです。

 ときどき入学式のテレビ取材や合格体験記などで、理科II類の新入生が医学科志望と言っていますが、体育実技や外国語会話や実験やグループ発表などもある駒場の試験の平均点で、高得点を確実に取ることは簡単なことではありません。

 努力すれば必ずというものでなく、自分の希望した履修科目に人気がある場合は、抽選で落ちて履修できないこともあります。運悪く鬼のように厳しい先生が担当になるかもしれません出席が得点に大きく影響する朝早い授業の日に体調を崩したり、予期せず電車が止まったりするかもしれません。実際うまくいかず、いろいろあって途中で諦めたり、他の大学の医学部を受け直して東大を退学したりする人もいます。

 一方、理科III類の医学科志望者は、毎年ほぼ全員医学科に進学できます。自ら理学部などに希望を出す人が毎年いて、医学科志望者が定員以下になるからです。ですから、試験の点数にこだわる必要はなく、順位も出ないので人と比べることもありません。思い切りやりたいこと、たとえば好きな分野の勉強もクラブ活動もアルバイトも精を出すことができます。

 ちなみに東大では2年後半をM0、3年をM1、4年をM2、5年をM3、6年をM4と呼びます。

本当に頭がいい人の勉強法(葛西 祐美 著/二見書房)より「東大推薦入試の仕組み」「大学入学にかかる費用と日程について」



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最終更新:2/15(木) 12:08
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