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平昌が強風なら東京は酷暑 五輪劣化を招いたIOCと米TV局の罪

2/15(木) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 冬の祭典が開幕早々、世界中の失笑を買っている。

 アジアで3度目となる平昌冬季五輪。9日の開会式で乱入者が現れたかと思えば、開幕後は現地の強風と極寒の影響で競技開催に混乱をきたし、選手からブーイングが巻き起こっているのだ。

 過酷な環境の犠牲になったのは、ノルディックスキー男子ジャンプの選手。

 10日のノーマルヒル決勝のジャンプ台には絶え間なく強風が吹きすさび、そのたびに試合は中断。試合開始は現地時間21時35分で、気温は一時マイナス10度を下回るなど、厳しい寒さにも襲われた。

 選手の多くは難しい調整を強いられ、惨敗に終わった葛西紀明(21位)、小林潤志郎(31位)らの日本勢はもちろん、今季W杯総合1位のストフ(4位=ポーランド)、2位のフライタク(9位=ドイツ)ですら表彰台を逃した。

 当然、選手からも不評で、五輪8度目の葛西は試合後に「W杯なら中止だろう、と心の片隅で思いました。(強風で)気持ちがひるんじゃうぐらいで、信じられない」と、これほどひどい大会は初めてだと言わんばかりだった。

 標高700メートル超の山岳部で行われる他の雪上競技も同様に強風に見舞われた。

 11日のアルペンスキー男子滑降が15日に延期されるなど、計3種目で日程を変更。

 スノーボード女子スロープスタイルは悪天候で予選がなくなり、全選手が決勝からの出場となったことで、演技回数は通常の3回から2回に。突風で雪が舞う悪コンディションの中で強行されたため、転倒して硬く凍ったコースに体を打ちつける選手が相次いだ。

 11日のノルディックスキー複合のジャンプの公式練習は当初予定していた3回の飛躍を1回で打ち切り、調整もままならなかった。

 競技以外でも現地のボランティアスタッフが待遇に不満を漏らして開会式リハーサルをボイコットしたり、警備スタッフにノロウイルスが蔓延するなど、何かとトラブル続き。韓国政府、組織委の運営能力はお粗末で、早くも「史上最悪の五輪」との声も聞かれる。

■平昌以上にひどい大会が行われる危険性

「組織委や政府以上に諸悪の根源はIOC(国際オリンピック委員会)です」とはスポーツライターの谷口源太郎氏だ。

「例えばジャンプ会場周辺には風力発電の巨大なタービンが設置されているくらいだから、もともと風が強い場所。環境が競技に適さないことぐらい、事前の現地調査で把握していたはず。チケットの売れ残りも問題になっていましたが、そもそも韓国は冬季競技が盛んではなく、フィギュアなどの一部を除けば注目度も低い。放映権を持つ米テレビ局NBCの意向から、スピードスケートやジャンプのように現地時間午後9時以降開始の競技もあり、現地の人が会場に足を運ばないのは当たり前です。宿泊代が高い酷寒の地に海外からの観戦客が見込めず、マーケティングの段階で集客に苦戦することも予想できたでしょう。今回の混乱は起こるべくして起こったと言えます。開催ありきで、アスリートと観戦客をないがしろにして平昌を選定したIOCの責任は重大です」

 IOCの最大の“スポンサー”である米テレビ局の意向が優先されるのは平昌に限ったことではない。2020年東京五輪(7月24日~8月9日)でも、米国のプライムタイムに合わせた競技スケジュールが組まれるのは必至だ。
多くの専門家は、大会期間中の最高気温は34度に達すると予想。競技によっては酷暑の中でのプレーを強いられ、アスリートはもちろん、観客や大会ボランティアが熱中症を患うリスクも指摘されている。日本特有の蒸し暑さに慣れていない海外選手は、パフォーマンスの低下は避けられないばかりか、命の危険にさらされる可能性もあるのだ。

 近年は住民の反対もあって、五輪開催地に立候補する都市は減少している。冬季大会は特にその傾向が顕著だという。

「今後は運営能力のない都市が開催地に選ばれて、平昌以上にひどい大会が行われる可能性もあります」(谷口氏)

 アスリートにとっても観戦する側にとっても過酷な五輪は、今回が最後にしてもらいたいものだ。