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小学校教員「忙しすぎ」 常葉大教職大学院が全県調査

2/15(木) 17:00配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 静岡県内小学校教員の約9割が日常の仕事を「忙しすぎる」と捉え、一般教諭の5割近くと校長や教頭ら管理職の3割が「教師を辞めたい」と感じたことがあることが15日までに、常葉大教職大学院の紅林伸幸教授らが県内公立小の全教員を対象に実施した調査で分かった。疲労感を募らせる教員の姿が改めて浮き彫りになった格好で、県教委は多忙化解消に向け調査結果を活用する方針。

 調査は県教委が協力して2017年2、3月、県内公立小316校の校長、教頭、教諭6868人を対象にウェブまたは紙の調査票を通じて行った。回収率は73・8%。200以上の質問項目で朝から帰宅後までの教員の活動内容を網羅的に尋ねた。

 個別の質問項目を見ると、「仕事にやりがいを感じている」「授業をすることが楽しい」との問いに対し、9割以上の教員が「とてもあてはまる」「まああてはまる」と肯定的に回答し、ほとんどの教員が仕事内容に意欲的に臨んでいることが裏付けられた。

 一方、仕事が「忙しすぎる」と回答した割合は教諭91・9%、管理職89・3%。「教師を辞めたいと感じることがある」との答えは教諭47・8%、管理職32・9%を占め、やりがいを感じながらも、疲労感を蓄積させている教員像が浮かんだ。

 労働時間については、教頭や主幹教諭の超過勤務が特に長く、1日平均4時間を超えた。教務・校務主任は3時間29分、教諭は2時間47分だった。

 疲労感を感じる仕事では、「教育委員会などからの調査や報告」「生徒指導や問題行動の対応」「保護者対応」が役職にかかわらず共通して高かったのに対し、日常業務の授業や教材研究、校内研修、学校行事に疲労感を感じる教員は2割以下だった。

 県教委は16年度から、3カ年計画の教員多忙化解消事業「未来の学校『夢』プロジェクト」を開始。県内4市町の小中学校をモデル校に指定し、大学や企業、外部有識者と多忙化解消に取り組んでいる。18年度はモデル校の実践を県内全域に普及する計画で、今回の調査結果についても「全教員を対象にした貴重なデータ。研究資料として有効活用したい」(義務教育課)と話している。



 ■空き時間の確保必要

 調査を実施した常葉大教職大学院の紅林伸幸教授(教育社会学)に調査結果を踏まえて多忙化解消の方策を聞いた。

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 教員の多忙は以前から指摘されているが、全小学校教員を対象にした今回の調査で、職位や地域などによって異なる事情を丁寧に明らかにできた意義がある。

 教員は常に複数の仕事を同時に抱え、子どもとの関わりや観察もほかの仕事と並行して行っているが、多忙なのに多忙と感じずに頑張っている教員がたくさんいることで、問題の深刻さが隠されてしまっているところがある。同僚と共有する仕事を優先し、最も重要な授業の準備や教材研究は勤務時間以降の放課後に回されている傾向も確認された。

 多忙の解消は間違いなく教育の質の向上に貢献する。有効に活用できる空き時間をどのように生み出すかを考える必要がある。平日や休日にリフレッシュできるかも重要で、持ち帰りの仕事は解消すべき大きな問題だ。今後、全中学校教員の多忙調査も実施してさらに研究を進める。

静岡新聞社