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渡部暁斗 生まれ育った白馬村に誓う「真の王者」 地元の英雄に熱いエール

2/15(木) 9:06配信

産経新聞

 ソチ五輪金メダリスト、エリック・フレンツェル(ドイツ)から遅れること約5秒。渡部暁斗がゴールすると、故郷、長野県白馬村のパブリックビューイング(PV)会場では、平昌五輪にかける渡部の思いを知る村民約220人が、一瞬悔しげな表情を浮かべた後、大きな拍手を送った。

 「胸を張れる銀メダル」と健闘をたたえるのは、渡部がジュニア選手として練習を重ねた白馬村スキークラブのコーチだった桜井峯久さん(48)。中学の同級生で同村職員の穂谷圭祐さん(29)は「本当に惜しかった。勝ってほしかったというのが正直な思い。ラージヒルで必ず悲願を達成してほしい」と力を込めた。

 世界の頂点を目指す渡部が幼い頃から実力を磨いてきたのが白馬村だ。当時、村では子供たちが高いレベルでクロスカントリーを競い合っていた。「全国レベルの子供たちが地元代表の枠を争っていたけど、その中でも速さが印象的だった」と穂谷さん。1998年長野五輪をきっかけに小学4年でジャンプを開始。目標は「五輪選手」。小学生のころの文集には、すでにこう書き込んでいた。

 2006年、白馬高2年でトリノ五輪に出場。14年ソチ五輪で銀を獲得した際は、村で凱旋(がいせん)パレードが行われ、約800人の村民が出迎えた。村出身者初の冬季五輪メダリストとして村民栄誉賞も贈られた。

 「村に育てられ、メダルを取れた」。常々こう語ってきた渡部は、世界を転戦し練習を重ねる今でも、時間の許す限り地元の祭りなどに参加している。

 だからこそ、白馬の人々に、最も輝く五輪のメダルを見せたかった。

 「どんな選手に育ったか地元に見ていただきたい」。五輪直前最後の実戦となった2月3、4日のワールドカップ(W杯)白馬大会。W杯4連勝を飾った渡部は、こう口にした。

 もちろん、地元の英雄の思いは十分届いている。PV会場では渡部に続く多くの子供たちが声援を送った。白馬村スキークラブで渡部の後輩になる白馬北小6年の横沢雄咲君(12)は「時間がたつのも忘れるくらい興奮した。最後の競り合いは本当にすごかった」と熱戦を振り返った。

 銀メダルを決めた後のセレモニーでガッツポーズと笑顔を見せた渡部は、改めてこう誓った。

 「金メダルを取ると宣言してきた。ラージヒルと団体でベストを尽くす」(中村昌史、太田浩信)

最終更新:2/15(木) 9:06
産経新聞