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入園が決まっても、素直に喜べない… 保活を終えた記者が感じた「一億総活躍社会」の矛盾

2/15(木) 17:20配信

qBiz 西日本新聞経済電子版

 この2カ月間、合格発表を待つ受験生のような気持ちで日々を過ごしてきた。志望先は「認可保育園(保育所)」。先日、役所から選考結果を知らせる書類が届き、1歳の娘は4月から認可保育園に通えることになった。

 「内定」の文字を見たとき、思わず涙がこぼれた。娘の場合、早生まれで0歳4月の選考には申し込めなかったが、運良く認可外の園に空きがあり、8月には仕事復帰できた。ただ、保育料は月17万円超。給料の大半が消えてしまう上、2歳までしか通園できない園なので、その後は行き先を失う。今回決まって本当にありがたかったし、ほっとした。

 だが、素直に喜べない。保育園を探す「保活」を励まし合いながらしてきた友人の中には、落選の通知を受け取った人もいるからだ。ツイッター上にも「♯保育園落ちた」が今年も飛び交う。仕事を失うかも、このままじゃ生活できない…悲痛な叫びに、胸が痛む。

 このコラムでも2回取り上げて、しつこいと思われるかもしれないが、言わせてほしい。「保活」は本当に大変だ。運の要素も強く、努力したからといって必ずしも結果が伴う訳ではないからというのはもちろんだが、保活そのものをこなすのも大変なのだ。

 認可保育園は、世帯の保育の必要性を点数化し、高い順に入ることができるシステムだ。まずは、自治体によって異なる募集要項を熟読し、自分の持ち点が何点か、内定のボーダーラインがどこか、加点や減点の条件などを把握する必要がある。たとえば、きょうだいが在園中だったり、認可外保育園に預けた実績があったりする場合は加点され、逆に祖父母が同居している場合などは減点されることが多い。

 都内の激戦区では、加点なしのフルタイム共働きだと、比較的預けやすいとされる0歳児でも落選することが少なくない。受け入れ枠の少ない1歳児以上はさらに厳しい。そのため、認可に落選した場合に備え、“滑り止め”として認可外の園も確保し、準備しておかなければならない。

 何をやったのか、あらためて列挙する。

 最初にやるのは、自宅から通えそうな園のリストアップ。認可保育園は募集要項を見ればすぐに分かるが、認可外保育園はどこにあるのかを探すところからスタート。電車利用も含む所要時間を調べ、30分以内で通えそうな約50園を書き出した。

 次に問い合わせ。各園に電話をかけて、定員に空きがあるか、見学可能かを確認する。認可外の施設のうち東京都が独自に補助金を出しているため保護者の負担が比較的軽い「認証保育園」もあるが、見学した上でしか申し込めない園も多い。しかも希望者が殺到するので、見学の申し込みの電話はなかなかつながらない。見学そのものを断られたケースもあった。

 そして見学。立地や園庭の有無など設備はどうか、延長保育はあるか、園のカリキュラムや方針はどうなっているか…。私は約30園を見て回った。入園したい園を探すためではない。認可や認証は「入れればどこでもいい」状況なので、希望順を決めるためだ。

 産後で体調も万全じゃない中、生まれたばかりの子どもを抱えてこれらをこなさなければならなかった。受験や就活のような、人生の大きな選択の場面なら分かる。「一億総活躍社会」がうたわれる中、仕事と子育ての両立を実現するために、なぜこんなに苦労しなければならないのだろうか。

 政府は、3歳から5歳までの幼児教育・保育の無償化を2020年度に完全実施する方針を決めている。昨年4月時点の全国の待機児童数は2万6081人。無償化には賛成だが、まずは希望するすべての家庭が認可保育園に入れるようにしてほしい。当事者の一人として、強く願っている。

西日本新聞社