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シタテルはグーグル検索でも出てこない工場をつなぐ ー 熊本のアパレルテックが破った常識

2/15(木) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

日本の衣料品産業は1990年以降、安い生産地を求めて中国や東南アジアに渡った。国内の繊維業界の製造事業者の数は約4分の1に減り、アパレルの市場規模はその間、15兆円から10兆円にまで縮小した。高齢化の波も高まり、シャツやズボン、帽子などを縫製する工場も減り続けた。

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熊本市で2014年に「シタテル(sitateru)」を起業した河野秀和(43)は、それでも「僕にとっては宝探し」と言って、国内に散らばる縫製工場を探し続けた。静かな山奥にある小さなデニムを作る工場を訪ねて、山歩きをすることもあった。

「グーグルの検索でも出てこない高い技術を持つ工場を見つけると、子どもの頃に宝探しをして遊んだ時の気持ちが蘇るんです」

シタテルはなぜ色褪せた宝石を探し求め続けるのか?そして、河野はその宝をどう磨き輝かせるのだろうか?

衣服を作る時、デザイナーがデザインを作り、パタンナー(Pattern Maker)がそのデザイン画を元に型紙(パターン)を起こす。そして、生地や服につけられる製材を生地工場や資材工場から仕入れ、縫製業者が服を縫う。

戦略系コンサルティング大手のローランド・ベルガーは、戦後のアパレル産業の発展が生み出した日本のアパレルの川上・川中・川下の構造には優秀な人材が散らばり、これらをつなぎ合わせることは、業界再興の鍵を握ると指摘する。

散らばる縫製工場を集めるプラットフォーム

シタテルが開発したプラットフォーム「シタテル・コントロールシステム」には、国内の1000を超える生地工場や縫製工場といった供給業者のデータベースが搭載されている。そのうちシタテルが連携する工場は約350。一方、需要側である衣服製造を希望するブランドや企業、個人は、プラットフォームに登録して注文することができる。登録者数は現在、6000まで増えた。

アパレルメーカーだけでなく、製造業者は作業着を、レストランやバーを営む事業者はエプロンやTシャツを注文することができる。個人も登録できるようにしたのは、eコマースを活用してこだわりの衣服を作りたいというニーズを受けてのことだ。

注文から製造までの工程を管理するプラットフォームを運営する上で鍵を握るのが、シタテルで「コンシェルジュ」と呼ばれる人たちだ。彼らは注文を受けた商品を、最適な生地を使って最適な縫製工場で作られるようナビゲートする。半年で140のアイテムを作り上げたコンシェルジュもいるという。

「アパレルは大量生産時代から少量多品種の時代に変わってきていると思います。ITの波に乗り遅れた小規模だけれど技術力のある工場をプラットフォームでつなげれば、質の高いこだわりのアイテムを作ることができる」と河野は言う。

「日本でマスマーケットと呼ばれる大量生産を中心とするアパレル市場が5.5兆円くらいあると思うが、僕たちがターゲットを置いているところは単価は高めだけれど、2.6兆円くらいあるトレンドゾーンと呼ばれる市場です。それに加えて、ワークジャケットやエプロン、ユニフォームなどを必要とする企業や個人事業主の人たちも見据えています」

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