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米検査抜本見直し 22年度までに等級廃止 農水省

2/15(木) 15:30配信

日本農業新聞

 農水省が2022年度までに米の農産物検査の仕組みを抜本的に見直す方向で検討に入っていることが14日分かった。検査規格規程で定められている外観検査に重きを置いた1等、2等といった等級を全面的に廃止し、品位鑑定の新たな方法を示す。現行の検査員の目視から、機器による計測にシフトすることも盛り込む。米のトレーサビリティー(生産・流通履歴を追跡する仕組み)制度などを踏まえ、農産物検査を受けなくても、米の販売時に品種や年産などを表示できる方向で検討する。品質の安定した米供給の確保に向け、慎重な議論が必要になる。

 同省は農業競争力強化プログラムに盛り込まれた農産物検査法の規格見直しに向け、具体化を進める。同省が生産者や流通業者などを集めた意見交換会では、「現行の目視による検査はぶれがある」とした意見があった。また、「農産物検査では実需者が求める品質まで調べておらず、社内で独自基準を設けている」(米卸)など流通の実態とずれが生じていることが、制度見直しの背景にある。

 機器による計測に向け、検査機器メーカーは既に対応を進めており、大手3社が共同で穀粒判別器技術委員会を設けるなど、業界で自主的に統一の判別基準の作成を済ませている。米の流通業者が取引で重視する「着色粒」や「死米」などの項目に絞り込み、農産物検査で用いていた「形質」などは外した。農業競争力強化プログラムの方向性と合わせており、業界関係者は「実質、国の品位鑑定基準に沿ったものになるのではないか」とみている。

 農産物検査は06年に民営化して以降、登録検査機関の農産物検査員が検査を担っている。専任の検査員が少ない上、業務が収穫期に集中することから、検査員の確保が課題となっていた。多くの新興銘柄米の出荷基準に1等米の格付けが条件となっているなど、検査は生産現場の良質米生産の指標にもなっている。等級がなくなれば、現場の混乱も想定される。

 国民に食料を安定的に供給する責任を果たすため、農産物検査が果たしてきた役割は大きい。政府は流通の合理化を掲げる一方、品質を担保する仕組みが崩れることがないよう、慎重な対応が求められる。

<ことば> 農産物検査

 米や麦、大豆など10品目が対象。米では品種と年産の表示は農産物検査による証明が前提で、「コシヒカリ」などと品種名を表示するには受検が課せられている。米トレーサビリティ法により産地を表示する際も、未検の場合は「産地未検査」とただし書きが必要。政府備蓄米の買い入れ条件にもなっている。

日本農業新聞

最終更新:2/15(木) 15:30
日本農業新聞