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ハルカトミユキ、蒔き続けた種が花咲く…バンド編成ツアー千秋楽:レポート

2/15(木) 10:40配信

MusicVoice

 2人組バンドのハルカトミユキが2日、東京・恵比寿LIQUIDROOMで『溜息の断面図TOUR 2017-2018 種を蒔く~花~』のツアーファイナルを開催した。このツアーは、昨年6月に発売した3rdアルバム『溜息の断面図』のリリースに伴うもの。昨年の全国ツアー『溜息の断面図TOUR 2017-2018 種を蒔く~種~』ではアコースティックセットで、今回は「花」と題しバンドセットで1月13日の大阪・梅田Banana Hallを皮切りに4公演をおこなった。ハルカが「ハルカトミユキなりの花を見ていって」とオーディエンスに呼びかけ、ロックに、ポップに、時に2人きりでしっとりと聴かせるものとなった。アルバムに収録された「種を蒔く人」を種を蒔く事を止めずに生きていこうと制作したという、彼女たちなりの花が咲き誇った公演の模様をレポートする。【取材=小池直也】

■生きてやろうよ、生まれたなら

 ゆっくりと照明が落ち、ステージに灯りが。そしてハルカトミユキの2人が入場すると拍手が起きた。「こんばんは、ハルカトミユキです」とハルカが話してから演奏が始まる。最初の「種を蒔く人」は2人きりでシックな演奏。サビではふたりの声が混ざる。

 ギターの余韻が残る形で楽曲が終わると、ミユキが手元の機材でノイズを鳴らす。この緊張感の中でバックバンドのギター・野村陽一郎、ベース・砂山淳一、ドラムス・城戸紘志の3人がステージイン。ミユキが「盛り上がろう」と叫び、バンド編成で披露されたのは「ニュートンの林檎」。先ほどとは違うロックなサウンドにオーディエンスも手を挙げて応答していく。

 続く「バッドエンドの続きを」も激しく聴かせた。鋭くギターをカッティングするハルカのノースリーブの右手がセクシーだ。赤い照明も艶っぽい演出。「Sunny, Cloudy」は演奏者全員のアクセントが揃うラウドなサビのなかで、ひらひらと舞う様なハルカとミユキの歌声が響いた。

 「今日は来てくれてありがとうございます」とハルカが話し始めた。「『溜息の断面図』から沢山歌っていきますので最後まで楽しんでいってください」と呼びかけ、「Fairy Trash Tale」へ繋ぐ。ミユキが弾くシンセサイザーの音が印象的に響き、マイナーな質感の「僕は街を出てゆく」では加速する3拍子系の間奏が挟まれる。元のテンポに帰還する際のスリルを演奏陣が楽しんでいる様子が見えた。

 ミユキがひとり厳かなタッチでピアノを弾いてから、「WILL(Ending Note)」へ。繰り返される鍵盤のフレーズ上でハルカが歌い上げる。機械仕掛けのビートから、サビで生演奏に。マイクを握るハルカの身ぶり手振りが感情の高ぶりを表していた。

 「皆さん色々な理由があると思うですけど『どうせ生まれてどうせ死ぬんだから、そんなに頑張らなくても良いんじゃないかな』という気持ちを込めた曲です」とハルカが前置きしてから、年末にデモ版をネットで公開した「どうせ価値無き命なら」を演奏した。撫でる様に優しくギターを弾くハルカの口からこぼれる切実な言葉たち。「生きてやろうよ、生まれたなら」。

 さらにハルカトミユキは、ポジティブな否定と肯定を積み重ねる楽曲「LIFE2」を演奏した。オーディエンスは二人に拠り所を求める様に見とれている。バンドが再度合流してからは「手紙」。静と動という言葉がぴったりな展開で、シンセベースも入った分厚い低音は地鳴りの様だった。

 この日は昼間まで雪模様だったが、公演前には止んでいた。ハルカは「4年前の渋谷クアトロでのツアーファイナルは、お客さんが来れないわ帰れないわで大変だったんです」と過去を振り返っていた。ミユキは「最後まで皆で楽しもうね」と可愛らしく話す。さらに2人がオーディエンスに来た場所を問いかけると、なんと韓国から来たという強者が。これには会場から驚きの声。

 そして「Vanilla」で演奏再開。パワーのあるメロディとノイジーなギターが絡み合う、壮大な音像で圧倒した。「Pain」では感情の乗った歌が、バックバンド陣をリードしてエモーショナルな演奏が展開していった。真っ赤な照明も演奏に花を添える。

■私にとっての花、皆にとっての花はなに?

 ハルカが「楽しんでますか? 一緒に花咲かせてくれますか?」と問いかけると、ここからはポップな曲が並ぶ。まずリズミカルなサビを持つ「tonight」。虹色のグルーヴをオーディエンスに提供。待ってましたとばかりに手をあげるオーディエンス。指を天に指すハルカ。続く、「インスタントラブ」でもアーバンなサウンドでフロアを揺らした。ミユキのシンセが心地良い。腰を振りながら歌うキュートなハルカも可愛らしかった。バックバンドの演奏もますますドライブしていく。

 「ハルカトミユキなりの花を見ていってください」とハルカがぽつりと話してからは、艶っぽいロックの「終わりの始まり」、ファンキーに観客を鼓舞するような「Stand Up, Baby」とセットリストが続く。そしてダンサブルなサビが待ち構える「わらべうた」で観客を踊らせていった。リズムが2倍になるアレンジで心も躍る。

 セットリスト最後は、「近眼のゾンビ(extended)」。まずミユキがハルカからギターを受け取り、激しく弾き始めた。その後、歌い出しには一度ステージから退場したハルカが拡声器を持って再登場。フロアに下りてオーディエンスに囲まれながら歌う場面もあった。エンディングは轟音に達し、それが鳴り終わる大きな拍手がフロアから送られた。そして、アンコールの手拍子が。

 ハルカトミユキの2人は再登場し、ハルカがマイクをとった。「種を蒔いて、何も花が咲かない事の方が多いかもしれないけど、それでも種を蒔く事を止めずに生きていこうと『種を蒔く人』を作りました。これだという答えがないままここまで来ましたが、私にとっての花、皆にとっての花を考えてもらいながら聴いてもらいたい曲があります」。

 アンコールへ。花をテーマにした、というそのタイトルは「その花の名前は」。ミユキによる綺麗なピアノが先行し、ハルカが詰め込んだリリックを紡ぐ。伝えたい事が沢山あるのだろうという事がわかる。マイクに全身全霊を吹き込む様だった。この会場にいた人々にとっての花とは何だったのだろうか。演奏が終わると大きな拍手がフロアにこだました。

最終更新:2/15(木) 10:40
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