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文系学生に製造業の魅力 常陽銀と常磐大連携、見学バスツアー

2/16(金) 4:00配信

茨城新聞クロスアイ

文科系学部の学生にものづくりの魅力をアピールする「製造業見学バスツアー」が好評だ。県内製造業への就職につなげるのを狙いに、常陽銀行(寺門一義頭取)と常磐大学(冨田信穂学長)が連携し、中小企業の優れた製造技術や仕事の内容を学生に紹介している。ツアーで見学した企業に就職した学生も出ており、企業側も意欲のある人材確保につながると歓迎する。同行などは、地域経済を支える企業と学生の橋渡し役となる取り組みを続け、需要の掘り起こしに力を入れていく方針。 (報道部・松崎亘)

■「いい刺激に」
製造業見学バスツアーは、同行の取引先企業の協力を得て、2016年から毎年開いている。3回目の今年は1月に実施し、就職活動を控えた常磐大2、3年の計7人が参加した。

このうち、マフラーなどの自動車部品を手掛ける三五関東(下妻市半谷)では、長谷部勲社長が工場を案内し、設備や事業内容、独自の加工技術などを丁寧に説明。学生たちは初めて見る技術の高さに感心しきりで、長谷部社長や従業員の話に熱心に耳を傾けた。

若手社員との交流で業務に対する理解も深め、参加者は「これまで未知の領域だと思っていた製造現場を見ることができ、いい刺激になった」などと述べた。

14年に本県進出した同社は地元採用を強化している。長谷部社長は「日本の産業はものづくり技術が支えていることを知ってほしかった。ツアーをきっかけに興味をもってもらえたら」と文科系学部出身の学生の受け入れに前向きだ。

■初の採用
ツアーをきっかけに、訪問した企業に就職した学生もいる。工業用電気ヒーターを製造販売する新熱工業(ひたちなか市山崎)の岡田知也さん(23)は昨年4月、製造業の世界に飛び込んだ。現在は、先輩社員の指導を受けながら溶接の技術を磨いている。

岡田さんは同社を見学後、大学を通して改めてインターンシップを希望。少量多品種の製造現場では、手作業による熟練の技が必要とされていることに魅力を感じ、就職を希望した。

「溶接技術はすごく奥深い。難しいことも多いが、指導してくれる先輩を目標に追い付け、追い越せの気持ちでスキルアップを目指している」と岡田さんは意欲を見せる。

専門性の強い同社が文科系学部の新卒学生を採用するのは岡田さんが初めて。大谷直子社長は「時代の変化に対応していくために企業も幅広く多様な人材を求めている。彼はこれまでにはいなかったタイプ。職場に新しい風を吹きこんでほしい」と期待を寄せる。

■「視野を広げて」
常磐大キャリア支援センターによると、県内外の製造業から求人はあるものの、小売業やサービス業への就職を希望する学生が多く、製造業関係に就職する学生の割合は全体の約5%にとどまっている。

同センターの木村賢一統括は「県内には高い技術力を持った中小製造業が数多くある。海外展開を見据え、語学力のある学生や事務部門を担う文系学生の採用ニーズも高まっている。視野を広げて就職活動に臨んでほしい」と話す。

同行地域協創部の白石隆也調査役も「文系学生にとって製造業は敬遠されがちだが、決して縁遠い存在ではなく、活躍の場があることを理解してもらいたい」と強調する。

茨城新聞社