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師に反し、通した自我=羽生、本能むき出しに〔五輪・フィギュア〕

2/16(金) 4:51配信

時事通信

 ソチ五輪で金メダルを手にした羽生は「第二のスケート人生が始まる」と思った。変化を意識していた。過去にとらわれていると前に進めないという考え方を、平昌までの4年間、さまざまな状況でたびたび口にしてきた。名コーチのブライアン・オーサー氏に対しても、自我を通してきた。
 オーサー氏は屈指の戦略家。技の出来栄え点(GOE)、表現力などを評価する演技構成点をいかに上げていくかを考え、得点を稼げるプログラムをつくる。重視するのは完成度。この手法で金メダルに導かれたが、ソチの後は羽生自身の意志でジャンプ構成の難度を一段、また一段と上げた。
 2015年冬に世界歴代最高点を2度更新し、4回転2種類でスコアがほぼ上限に達した。翌シーズン序盤、満を持して3種類目のループに注力した羽生はオーサー氏に呼ばれた。演技のトータルパッケージを大切にしろと説かれたが、「僕にとってループは演技の一部」と主張して押し通した。
 4回転をフリーで5本まで増やし、得点の増す後半に3本を跳ぶようになった。相談はしても、いつも腹は決まっていた。4種類目のルッツにもオーサー氏は当初から難色を示したが、羽生はそれでも組み込んだ。いわば対等に立つことで「1+1が2ではなく、3や4にもなる」と信じた。
 オーサー氏は羽生の持つ総合力を知るからこそ引き留めようとした。師の戦略に従えば労せずして得られたものもあっただろうが、それでたとえ連覇しても4年前と何ら変わらない。「粗くても頂上まで絶対にたどり着ける地力を求める。スケートへの本能をむき出しにしてやっていく」という思いを隠さず、自身の心の声に耳を傾けてきた。(時事)

最終更新:2/16(金) 9:13
時事通信